猫が大好きなマタタビ。
その昔、この果実を食べた弘法大師が元気を取り戻して旅を続けたという話があります。
しかしこれは俗説で医学的根拠は認められていないようです。
それでもマタタビ酒の薬効を期待し愛飲している人は沢山います。
そんなマタタビの採取や食べ方をまとめてみました。
マタタビの基本情報
- マタタビ:マタタビ科マタタビ属 落葉性つる性木本
- 別名:ナツウメ、ワタタビ、カタシロ、コズラ、ネコズラ、ネコナブリなど
- 自生地:北海道~九州
- 開花期:6~7月
- 成分:マタタビラクトンなど
- 薬用効果:強壮、利尿、鎮痛、腹痛、神経痛など
マタタビの特徴
里山や深山までの山地に自生するつる性の植物で、他の樹木などに絡みついて生長します。
雌雄異株で、春に産毛の生えた新芽が芽吹きます。
葉は卵形で先端は尖り縁に鋸歯があります。
初夏の開花期、葉の表面は一部白くなり、芳香のある小さな白い5弁花を咲かせます。
花後にはどんぐりのような果実を結び、秋に熟します。
この頃には葉は元の色に戻ります。
果実の異常発育でできる虫こぶ
開花直前に、花の子房にマタタビタマバエやマタタビノアブラムシが卵を産みつけます。
すると子房は中に虫が入り込み普通の果実にはならず、ごつごつした形に異常発育をします。
これが「虫こぶ」または「虫癭(ちゅうえい)」と呼ばれ、薬用に利用されます。
虫こぶではない通常の果実には薬効は無いとされています。
マタタビの食べられる部位と採取時期
4~6月の若芽と6~7月の花、8~10月の果実が食用になります。
若芽は柔らかいものを枝先から採取します。
未熟果や虫こぶは8~9月に、熟した果実は9~10月に採取します。
つるを引っ張って摘み取ります。
マタタビの採取場所と注意
※場所により、いまだに放射線量の高い地域もあります。
自治体の情報をご確認の上、安全を判断してください。
山地、渓谷などに自生します。
足場の悪い場所に生えることがあるので注意しましょう。
マタタビの調理方法
- 若芽:おひたし、和え物、炒め物、天ぷらなど
- 花:おひたし、甘酢漬け
- 果実:果実酒、漬け物、生食など
若芽はアレルギーを生じることがあるので多食は控えましょう。
未熟果には辛味がありますが、熟した果実は甘く生でも食べられます。
ここでは、マタタビのシンプルなおすすめ調理法を紹介します。
したごしらえ
若芽は塩を入れた熱湯で茹で、一昼夜水にさらすことで辛味や渋味が抜けます。
花はがくから外して塩を少量入れた熱湯で湯通しします。
果実は、若いものは一昼夜塩水に漬けて苦味や渋味を除きます。
①おひたし
若芽や花はしたごしらえをしておひたしに。
歯切れの良い食感を楽しめます。
②炒め物
したごしらえをした若芽を2~3cmに切り、ベーコンとともに油で炒めます。
塩コショウで味付けをすると食べやすいおかずに一品になります。
③天ぷら
若芽を生のまま衣をつけて天ぷらに。
ほろ苦さとさわやかさのある風味を味わえます。
④果実酒
熟した果実を4倍量のホワイトリカーに半年以上漬けます。
虫こぶのものを使うと薬効が得られるといわれています。
果実は1年経ったら取り出します。
マタタビの薬効
薬効に関しては、あくまで参考程度に記載しています。
虫こぶの果実を熱湯で殺虫し、天日干しにしたものを生薬では「木天蓼(もくてんりょう)」と呼びます。
これを焼酎やホワイトリカーで薬酒にすると強壮、冷え性、リウマチ、神経痛などに効くとされています。
民間療法では樹液を服用すると浮腫に効果があるといわれています。
また、つるや葉を入浴剤として利用すると体が温まるそうです。
参考になる本の紹介
この記事を書くにあたって、以下の本などを参考にさせていただきました。
より詳しい情報やレシピ、写真が掲載されていますので、ぜひご覧ください。