菜の花という呼び方はアブラナ科の総称で、河川敷などで見られるものはカラシナという植物。
正しくはセイヨウカラシナといいます。
ここではカラシナの、食用として調べたことをまとめました。
カラシナの基本情報
- カラシナ(辛子菜):アブラナ科アブラナ属 越年草
- 自生地:日本全土(帰化植物)
- 開花時期:3~5月
- 栄養成分:β-カロテン、ビタミンB、C、E、カルシウム、鉄、食物繊維など
- 薬用効果:咳止め、外用で漆かぶれ
カラシナの特徴
全国で見られ、特に西日本に多く群生します。
春には河川敷など一面を真っ黄色に染めます。
元々は戦後に輸入され野菜として栽培されたものが野生化しました。
セイヨウアブラナに混じって群落を作ります。
セイヨウアブラナとの違いは、葉の基部。
アブラナは茎に葉が取り巻いており、カラシナは取り巻いていません。
また、カラシナは葉をかじると辛みがあるのが特徴。
草丈は30~100cmで、花もアブラナよりやや小さいものになります。
秋に発芽し、大根に似た若葉で大きなロゼットになり越冬します。
3月ごろから開花し始め、花が散ると種のびっしり入ったさやをつけます。
これは粒マスタードになります。
カラシナの仲間
アブラナ科の仲間でムラサキハナナとスカシタゴボウがあります。
これらも食べられ、スカシタゴボウは辛みが少ないので和え物やスープなどに。
カラシナの食べられる部位と採取時期
沖縄では一年中出回っていますが、本州では春が旬。
3月初旬の若葉を摘み取ります。
新しいとうが立ったら刃物で切り取ります。
その後の2番芽、3番芽も採取できます。
越冬したロゼットはかたくて味はよくありませんが、漬け物になります。
また開花前の花茎も食用になります。
花後の種子は集めてマスタードになります。
根ごと採取するのは止めましょう。
カラシナの採取場所と注意
※場所により、いまだに放射線量の高い地域もあります。
自治体の情報をご確認の上、安全を判断してください。
野原にもありますが、川原や土手などに大群生します。
アブラナと混生することもあるので、葉の特徴を確認しながら摘みます。
カラシナにはアブラムシやアオムシ、ヨトウムシ類、コナガがつくことがあります。
カラシナの調理方法
カラシナは採取後、時間の経過とともにアクが強くなります。
早めに下処理をするようにしましょう。
- 若葉、花:和え物、おひたし、天ぷら、汁の実、漬け物、炒め物など
- 実:マスタード
市販のものに比べ、野生のものは細いですが、力強い辛味があります。
これはシニグリンという辛味成分によるもの。
ここでは、カラシナのシンプルなおすすめ調理法を紹介します。
したごしらえ
熱湯で軽く茹でて、水にさらします。
茹でると辛味が消えますが、残したい時は熱湯をかけます。
また塩漬けで保存でき、アクが抜け食べやすくなります。
①おひたし
つぼみや若葉をおひたしに。
かつお節やごまをかけて、ピリ辛さを楽しんで。
茹ですぎると辛味がなくなります。
②サラダ
若葉も花茎も生食できます。
一口大にちぎって醤油やラー油などと辛味が合います。
③塩漬け
沖縄のチキナーはカラシナの塩漬けのこと。
単品でおかずになります。
自家製マスタードの作り方
種は細いさやの中に入っています。
こぼさないようにさやだけ取るか、茎ごと切り取り、ビニール袋に入れて持ち帰ります。
採取したさやを敷物に広げて干すと、数日で種がこぼれ落ちます。
種だけ集めますが、さやの破片が混じることがあります。
風で吹き飛ばすと種だけ残すことができます。
同量のビールと、1/4量のお酢を注ぎ、一週間ほど常温で保存します。
種が沈みふやけたところで、液体とともにすり鉢に移します。
塩と砂糖を各小さじ1杯入れ、すりこぎですります。
辛味が花をつき、種が潰れ黄色っぽくなるとマスタードができあがります。
保存瓶に移し、冷蔵保存します。
自分で採取せずにマスタードを作る方法
「身近にカラシナが生えていない」
「採取時期が過ぎてしまった」
という方でも、自家製マスタードを作ることができます。
こちらのお店では時期に関係なくマスタードシードを販売しており、作りたいと思った時に手に入れられます。
参考になる本の紹介
この記事を書くにあたって、以下の本などを参考にさせていただきました。
より詳しい情報やレシピ、写真が掲載されていますので、ぜひご覧ください。