秋のムカゴがおすすめ!ヤマノイモの採取と食べ方【食べられる山野草】

食べられる野草・山菜

山の中で見つかるヤマノイモ。
時々テレビでも採取して食べるバラエティ番組を見かけます。
掘り出すのは一苦労ですが、食用部位は根の部分だけではありません。

そんなヤマノイモの採取や楽しみ方をまとめてみました。

ヤマノイモの基本情報

  • ヤマノイモ(山の芋):ヤマノイモ科ヤマノイモ属 つる性多年草
  • 別名:ジネンジョ、ヤマイモ、キリイモ、トロロイモ、ムカゴイモ、ナガイモなど
  • 自生地:本州~沖縄
  • 開花時期:7~9月
  • 栄養成分:澱粉、食物繊維、カリウムなど
  • 薬用効果:滋養強壮、消化促進、鎮咳など

 

ヤマノイモの特徴

平地から山地の藪などに生えるつる性の植物で、他の樹木などに絡みついて生育します。
雌雄異株で、葉は7~12cmの細長いハート形で、つるに対生します。
夏になると葉の付け根に花穂を出し、小さな白い花を多数つけます。
秋には葉は真っ黄色に色づき、葉のわきに茶褐色のムカゴを実らせます。
冬には地上部は枯れ、地下のイモ(塊根)だけで越冬し、春に再び発芽します。

店頭に並ぶナガイモは元々中国原産の植物で栽培品であり、ヤマノイモとは別種。

似た仲間に、ニガカシュウやトコロがあります。
これらはヤマノイモ同様にムカゴをつけますが、食べると非常に苦いので注意。
見分け方は、ヤマノイモは葉が向き合って生えるのに対し、これらは葉を互い違いに生やします。
また、少しかじって判断しても大丈夫です。

 

ヤマノイモの食べられる部位と採取時期

4~6月の若芽、9~10月のムカゴ、11~1月のイモが食用になります。

葉が黄色くなった頃にムカゴは熟します。
熟したムカゴは触れただけで落ちてしまうので、つるを棒で叩くなどして落とします。
帽子や傘などを使って受けると良いです。

イモは折れやすいので慎重に、地道に根気よく掘り出します。
全てを掘り出さずに半分ほど残しておくと翌年も採取できます。
掘り出した穴は埋め戻しましょう。

 

ヤマノイモの採取場所と注意

※場所により、いまだに放射線量の高い地域もあります。
自治体の情報をご確認の上、安全を判断してください。

山地の林道のわきや藪の中に、他の植物に絡みついて育ちます。

イモは秋から冬に掘り出しますが、地上部が枯れて分からなくなることがあります。
枯れる前に目印をつけておきましょう。

多年草であり、イモは年を経るごとに大きくなります。
判断するにはつるの太いものや、絡み合う全体が太いものを選ぶと良いです。

ヤマノイモは畑などで栽培されるものと違い、土中に石ころなどが混じることがあります。
地方によっては掘るための専用の道具が売られていることもあります。
また他の樹木の根元の近くに生えていることがあります。
下手に掘ると木を枯らすこともあるので注意しましょう。

ヤマノイモを掘り出すにはかなりの手間がかかります。
そのため市場価格ではナガイモの10倍の値がつくこともあります。

 

ヤマノイモの調理方法


ムカゴは採取して時間が経過すると味が落ちます。
できるだけ早めに調理しましょう。

  • 若芽:おひたし、和え物、炒め物、煮びたし、巣ごもりなど
  • ムカゴ:ムカゴご飯、揚げ物、煮物、焼き物、天ぷら、和え物、漬け物、甘納豆など
  • イモ:とろろ、おかゆ、揚げ物、サラダなど

ムカゴもイモも生食でき、かじるとほんのり甘みがあります。
ここでは、ヤマノイモのシンプルなおすすめ調理法を紹介します。

したごしらえ 
若芽は水洗いし、軽く茹でて水にさらします。
ムカゴは皮のまま食べられます。
塩ひとつまみを入れた熱湯で茹で、冷水にさらします。
途中で湯が茶色に濁ったら、湯を替えます。
茹で時間はムカゴの鮮度や大きさで変わるので試食して確認します。
イモはよく水洗いします。

①イモのとろろ 
イモはすり潰してとろろにし、とろろ汁やそばに。
栽培種のナガイモよりももちもちとした粘り気があります。
定番ですが、おいしさも保証できます。

②ムカゴご飯 
生のまま使うので採りたてを調理しましょう。
皮のついたまま水洗いし、塩や日本酒を少々水に加えて米と一緒に普通に炊きます。
お好みでクリやキノコなどと一緒に炊いても良いでしょう。
風味豊かな味わい。

③ムカゴの和え物 
したごしらえをして水気を切ったムカゴはごま味噌やゆず味噌などと合います。
マヨネーズもおすすめ。

④ムカゴの揚げ物 
から揚げにし、砂糖や塩を振るとおやつになります。
砂糖を振った方は子どもに喜ばれます。

⑤若芽のおひたし 
若芽はしたごしらえして食べやすい大きさに切って盛りつけます。
ぬめりと甘み、わずかな苦味が感じられます。

 

ヤマノイモの薬効

薬効に関しては、あくまで参考程度に記載しています。
ヤマノイモの皮をむいて天日干ししたものを、生薬では「山薬(さんやく)」と呼びます。
漢方薬では滋養強壮の目的で処方されます。

民間薬としては、イモをホイル焼きにして塩をつけて食べると、寝汗や夜尿症に効果があるとされています。
また生の根をすりおろして貼り薬とし、皮膚の炎症に効くとされています。

 

参考になる本の紹介

この記事を書くにあたって、以下の本などを参考にさせていただきました。
より詳しい情報やレシピ、写真が掲載されていますので、ぜひご覧ください。

 

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