子どもの頃、アケビの実を食べたことがありました。
その果肉はまるで熟れたバナナのように甘かった記憶があります。
アケビは実だけでなく他の部位も食べられるようです。
アケビの基本情報
- アケビ(木通):アケビ科アケビ属 つる性落葉低木
- 別名:アケビカズラ、アクビ、キノメ、アケビヅル、イシアケビなど
- 自生地:北海道~九州
- 開花時期:4~5月
- 薬用効果:消炎、利尿、鎮痛、抗菌作用など
- 成分:ヘデラゲニン、オレアノール酸などのトリテルペン、カリウム塩など
アケビの特徴
山野や雑木林に自生します。
つる性で、他の植物に絡みつきながら生長します。葉は楕円形の小葉。
雌雄異花で、春の開花期には葉の間からは薄紫色の小さな雄花が房状につきます。
雌花は雄花に比べて少し大きく、房の根元近くにつきます。
晩秋に、高い木に絡みついたつるに灰色がかった紫色の実をつけます。
大きさは10cmほどで、中の果肉は白半透明。
アケビにはミツバアケビやイツツバアケビ、トキワアケビ(ムベ)などの種類があります。
中でも山菜として一番おいしいのはミツバアケビ。
ミツバアケビは3枚の小葉が特徴なので、他のアケビと区別がつきます。
アケビの食べられる部位と採取時期
3~6月の新芽や若葉やつる、花が食用になります。
新芽は苦味が強く、食用として適しているのはミツバアケビになります。
新芽のついたツルの先端から10~15cmくらいの部分の折りやすいところから摘み取ります。
果実は9~10月ごろの実が割れたものが食べごろです。
刃物で切り取り採取します。
仲間のトキワアケビ(ムベ)は熟しても実は割れません。
アケビの採取場所と注意
※場所により、いまだに放射線量の高い地域もあります。
自治体の情報をご確認の上、安全を判断してください。
アケビは北海道から九州まで自生していますが、ミツバアケビが特に多いのは東北地方。
山地や丘陵の雑木林や野原の、日当たりの良い場所に見られます。
果実は高い木に絡んだつるに生るため、はしごを使うか木登りする必要があります。
山などでは、先に野生動物や野鳥に食べられてしまうことがあります。
なかなか手に入らない場合は、庭などで栽培してみると良いでしょう。
種類は、果実がつきやすくおいしいミツバアケビを。
実を結ぶまでに時間のかかる種子からではなく、太くてある程度育った苗を植えます。
通販でも購入できますが、できれば園芸店などで見て選びたいものです。
自力で山に分け入るのが難しい時は、道の駅などでも野生の果実を購入できる場合があります。
アケビの調理方法
新芽には苦味があるので、したごしらえをします。
アケビの果実には種が多いので生食は吐き出す手間があります。
いっそ採りたてを屋外で食べるのも良いですね。
- 新芽、若葉:天ぷら、揚げ物、おひたし、和え物、漬け物、お茶など
- 花:ゼリー、塩漬け、花湯など
- 果実:生食、天ぷら、炒め物、裏漉ししてゼリー、ソースなど
アケビは部位によってさまざまな調理法があります。
ここでは、アケビのシンプルな調理法を紹介します。
したごしらえ
塩を入れた熱湯でさっと茹で、冷水にとります。
果皮は茹ですぎると形が崩れてしまうので注意。
また果皮は一晩酢に漬けてアクを取る方法もあります。
①天ぷら
新芽や若葉は生のまま天ぷらにできます。
また秋の果皮も適当な大きさに切って天ぷらに。
苦味が強く、大人の味。塩で食べるのがおすすめ。
②おひたし、和え物
新芽や若葉はしたごしらえをし、水気を取り適当な大きさに切っておひたしや和え物に。
マヨネーズ和え、くるみ和え、からし和え、ごま和えなど、お好みの味で。
③果皮の肉詰め
果実から果肉や種子を取り出し、外側の果皮を詰め物に使います。
ひき肉やみじん切りのタマネギなどの野菜を甘めの味噌炒めなどにし、果皮に入れます。
中身が出ないようにタコ糸で縛るか爪楊枝で止め、蒸し焼きや揚げ物、炒め物にします。
アケビの薬用効果
薬効に関しては、あくまで参考程度に記載しています。
晩秋の葉が落ちる頃のアケビのつるを採取し、小さく切って日干ししたものを生薬では「木通(もくつう)」と呼びます。
また民間療法では生の茎葉などにも薬効があると言われています。
- 肝臓炎、月経不順、浮腫、腰痛など:木通または果皮を煎じて服用します。
- 吹き出物:茎葉を入浴剤として利用します。
- 突き目:つるから出る白い汁を目に入れるか、木通の煎液で洗眼します。
- 健胃、利尿:果皮を食用します。
参考になる本の紹介
この記事を書くにあたって、以下の本などを参考にさせていただきました。
より詳しい情報やレシピ、写真が掲載されていますので、ぜひご覧ください。