春の味覚といえばフキ 採取して食べよう【食べられる山野草】

春の味覚といえばフキ 採取して食べよう【食べられる山野草】

春の山菜として一般的なフキ。栽培されるので食品売り場でも見かけます。
山野で天然のフキノトウを目にすれば季節の移り変わりを実感する。

そんなフキの、山菜として調べたことをまとめました。

フキの基本情報

  • フキ(蕗):キク科フキ属 多年草
  • フキの別名:ヤマブキ、アオブキ、フウキ、ノブキ、フキンボ、オオバなど多数
  • フキノトウの別名:バンゲ、パッケ、バッケ、バンカイ、バッキャ、など多数
  • 自生地:本州~九州
  • 開花時期:3~5月

フキの特徴

雌雄異株の多年草。
雄花は黄色で、花粉を出すと枯れます。
雌花は白色の綿毛状で、生長するとたんぽぽの綿毛のような種子を飛ばします。

花が咲き終わると、直径15~30cmくらいの丸い大型の葉が生長します。
葉柄は長く肉厚で中空、その葉柄が食用のフキと呼ばれます。

フキは数少ない日本原産の野菜で、平安時代には栽培が始まっていました。
栽培が容易なので、畑や庭に植えられていることもあります。

 

フキの食べられる部位と採取時期

花のつぼみであるフキノトウが芽を出し始めるのは早春。
関東では梅の花の2~3月ごろ、北国では雪の消える4月ごろ。
花の開きかけのものを地面の際からちぎり取ります。
開ききったものは食感が悪くなり、苦味も強いので食用には適しません。

生長した花茎や葉柄であるフキは3~10月ごろ。
地下茎を抜かないよう、根元から採取します。

葉は一般的に食べませんが、柔らかな若い葉は食用になるようです。
ただし茎よりも苦味が強いので、使う時はしっかり茹でて一晩水にさらします。

 

フキの採取場所と注意

※場所により、いまだに放射線量の高い地域もあります。
 自治体の情報をご確認の上、安全を判断してください。

山野や土手、野原などに生えています。
畑の端などで見かけることもありますが、私有地の場合もあるので確認しておくこと。
素手で摘むと汚れるので、軍手をした方が良いです。

毒草であるナス科のハシリドコロの新芽に似ています。
フキノトウと同時期に芽吹きますが、違いは内部。
中に沢山のつぼみがあるものがフキノトウ。
中心まで葉が重なり合っているのがハシリドコロです。

 

フキの調理方法

採取したら、できるだけ早く調理します。

  • フキノトウ:天ぷら、汁の実、フキ味噌、田楽、煮物など
  • フキ:おひたし、煮物、炒め物など

時間がたつとアクが強くなり質も落ちるので、早めにしたごしらえをします。

ここでは、したごしらえからおすすめの使い方を紹介します。

したごしらえ

フキノトウ 
外側の汚れた葉を外し、葉を開いて沸騰した湯にひとつまみの塩を入れ10分ほど茹で、冷水に30分さらします。
さらし時間を長めにすると苦味が減ります。
重曹を使って茹でる方法もあります。

フキ 
熱湯で5分ほどしっかり茹でます。
市販のものより細くてかたいので、柔らかくなるまで煮ます。
その後、水にさらし皮をむきます。
皮は先端部分を一通りめくり、まとめて掴んで引っ張ると一度にむけます。
高く伸びた花茎は皮をむかなくても使えます。

すぐに調理できない時は冷凍保存をすれば好きな時に利用できます。
水にさらしたあと、水気を切り密閉袋に入れて冷凍庫で保管します。

①フキノトウの天ぷら 
最も一般出来なフキノトウの調理法で、したごしらえは必要ありません。
つぼまった状態で揚げる方法と、葉を広げて揚げる方法があります。
フキノトウの風味を楽しむなら塩で食べるのがおすすめ。

②フキ味噌 
したごしらえをしたフキノトウを細かく刻み、味噌とみりんで炒めます。

③きゃらぶき 
葉柄を九州の名産品、きゃらぶきに。
したごしらえをした後、食べやすい大きさに切り、醤油やみりんなどで煮詰めます。

 

フキの仲間アキタブキ

北関東以北や北海道に生育するアキタブキはフキより大型。
エゾブキ、オオブキ、ラワンブキとも呼ばれます。
姿形は似ていますが、葉柄の長さは1~2m、葉の直径は1~1.5mにもなります。
フキノトウも大型で初冬には芽吹くこともあります。
食用にはフキノトウと葉柄部分を、フキ同様に利用できます。

 

フキの薬効

薬効に関しては、あくまで参考程度に記載しています。

フキは自然の中では春の貴重な栄養源ですが、民間の薬用としても使われてきました。
生薬としては蜂斗菜(ほうとさい)と呼ばれています。

薬用効果 
咳止め、ぜんそく、去痰、食欲増進などに効くといわれています。

また北海道のアイヌの人々はフキの根をお産の時の薬とします。
鍋で煎じて服用します。

 

参考になる本の紹介

記事の作成にあたって、以下の本を参考にさせていただきました。
より詳しい情報やレシピ、写真などが掲載されていますので、よろしければご覧ください。