日本中のどこにでも見られるこの雑草は史前帰化植物と考えられ、古くから親しまれてきました。
春の七草の一つでもあり、ペンペングサとしても名が通っています。
改めて野草としてのナズナの、調べたことをまとめました。
ナズナの基本情報
- ナズナ(薺、撫菜):アブラナ科ナズナ属 一年草あるいは越年草
- 別名:ペンペングサ、シャミセングサ、ガラガラなど
- 自生地:日本各地
- 開花時期:12~6月
- 栄養成分:カリウム、カロテン、食物繊維など
ナズナの特徴
冬越しのナズナの葉はロゼット状に地面に張りつき、北風から身を守っているような姿。
若株はタンポポやノゲシに似ていますが、魚の骨のような形が特徴的です。
根は地下に深くしっかりと張っており、掘ってみるとゴボウのような匂い。
春から夏にかけて花茎を伸ばし、長いもので50cmほどにも伸び、白い十字形の花をつけます。
花の下つくハート形の平たい実さやが三味線をペンペンと弾く時に使うばちの形に似ていることから、ペンペングサと呼ばれています。
またナズナという名前の由来は、撫でたくなるほど可愛いからとか、夏には枯れて無くなる、夏無き菜からとも言われています。
英語名はマザーハート。
ナズナに似た仲間マメグンバイナズナ
同じアブラナ科で北米原産のマメグンバイナズナ。
繁殖力が強く、最近では街でも見られるようになり、株は大きく育ちます。
ナズナとは実の形が異なり、こちらは丸いのが特徴。
実には辛味があり、サラダやカナッペ、スープなどに利用できます。
ナズナの食べられる部位
食用部位は若苗と若芽と実です。
早春の、花茎が出る前のロゼット状の若苗を、根元からナイフまたは鎌で刈り取ります。
生長しきってしまったら、かたくて苦いので、先端部分のみ使います。
お茶として実を採りたい時は種子が未熟なうちに全草ごと採取。
ナズナの採取時期
ナズナのおすすめの採取時期は部位によって異なります。
新苗や茎葉は12~3月ごろの生長する前。
3~6月の開花期は、お茶にする場合全草採取します。
ナズナの採取場所と注意
畑、道端、土手、荒地など、どこにでも生えている生命力旺盛な植物です。
車道近くや犬の散歩道などでの採取は避け、きれいな環境のものを採りましょう。
※場所により、いまだに放射線量の高い地域もあります。
自治体の情報をご確認の上、安全を判断してください。
ナズナの調理方法
部位によっておすすめの調理法があります。
- 若苗、若茎:天ぷら、おひたし、汁の実、和え物、炒め物、七草粥など
- 全草:ナズナ茶など
アクはあまりありません。
韓国ではナムルやキムチなどにも使うようです。
ここでは、ナズナのシンプルなおすすめ調理法を紹介します。
したごしらえ
塩ひとつまみ入れた熱湯で7~8分ほど茹で、冷水に10分ほどさらします。
①天ぷら
葉を生のまま衣をつけて天ぷらに。生長し過ぎるとかたくなっておいしくないので、若いうちに。
花の部分を摘んでかき揚げにも。
②おひたし
塩一つまみを入れた熱湯で素早く茹で、水にさらして水分を絞ります。
湯を通すと鮮やかな緑色になります。
③ナズナ粥
塩と日本酒で味付けした粥を作り、火を下ろす直前に、熱湯を通したナズナを刻み入れ、ふたをします。
ナズナがほのかに香るお粥ができます。
④サラダ
生食できるので、花の部分をサラダに散りばめて。
④野草茶
花の咲いている時期に摘み、よく洗って陰干しします。
生のまま急須などに入れて飲むこともできますが、青臭さがあります。
またはバチ形の実を採り煎ってお茶の代わりにすると香りを楽しめます。
ナズナの薬効
薬効に関しては、あくまで参考程度に記載しています。
ナズナは生薬として薺(せい)と呼ばれ、さまざまな薬効があるとされています。
ヨーロッパでも痛風や赤痢の薬として昔から使用されていました。
薬用効果
- 全草を煎じて服用することで、眼底出血、肺出血、消化器からの出血異常、月経不順や子宮出血、慢性腎炎、浮腫、肝臓病、高血圧、便秘などに効果がある。
- 全草を黒焼粉末として服用することで赤痢、下痢、腹痛に効く。
- 根の部分を煎じ液や絞り汁、または全草の煎じ液で目を洗うと眼球の疾痛に効くとされています。
参考になる本の紹介
記事の作成にあたって、以下の本を参考にさせていただきました。
より詳しい情報やレシピ、写真などが掲載されていますので、よろしければご覧ください。