春の野草といえばツクシ。
他の植物に比べて特徴的で、かわいくて誰もが知っています。
その後に勢いよく繁殖するスギナはやっかいな雑草という扱いも。
子どもの頃、ツクシを集めて家で料理してもらいました。
味は、子どもの感覚としてはいまいちだったような。
手間もかかるので、それ以来食べる機会は無くなりました。
改めて食用としてのツクシ・スギナの、調べたことをまとめました。
ツクシ・スギナの基本情報
- ツクシ(土筆)・スギナ(杉菜):トクサ科トクサ属 多年草(シダ植物)
- 別名:ツクシンボ、キツネノタバコ、フデンコ、ツキグサ、ツギマツ、スギナノコなど
- 自生地:北海海~九州
- 栄養成分:ビタミンB群、ビタミンE、カリウム、亜鉛、食物繊維など
ツクシ・スギナの特徴
主に北半球に広く分布し、九州は南の方では少なくなります。
まだ寒さの残る春に地上に出てくるツクシは黄褐色で、高さは10~20cmほど。
茎には数個の節があり、はかまと呼ばれる堅いさやがあります。
先端は筆の穂のような形で、胞子を飛び散らせます。
その後、ツクシが枯れると鮮やかな緑色の、葉のはたらきをするスギナが大繁殖します。
高さは40cmほどにも伸び、夏には最盛期を迎えます。
緑色の細い葉のように見える部分は実は枝で、葉のような栄養を作る役割をしています。
葉は、というと退化して鱗片状になっています。
ツクシが生長してスギナになると思われがちですが、実際は役割が分かれています。
ツクシは繁殖のための胞子茎、スギナは生長生存のための栄養茎。
どちらも地下茎でつながっていて、最初にツクシが出て、次にスギナが芽吹きます。
ツクシは昔から食用にされていましたが、スギナも江戸時代に食されていました。
また、西日本では食べる機会が多いようですが、東日本ではそれほど食べられていないようです。
ツクシ・スギナの食べられる部位
ツクシもスギナも地上部が食用になります。
スギナは生長するとかたくなりますが、先端の柔らかい部分であれば食べやすいです。
ツクシ・スギナのおすすめ採取時期
ツクシは3~4月ごろ。
胞子を出す前の、先端の穂が開く前の緑色をしているものがおすすめです。
開いて胞子が飛ぶようになるとかたくなっておいしくありません。
スギナは一年中採取できますが、おすすめは4~5月ごろ。
出たばかりの若い芽を摘みます。
ツクシ・スギナの採取場所
※場所により、いまだに放射線量の高い地域もあります。
自治体の情報をご確認の上、安全を判断してください。
日当たりの良い山野から田畑や道端、土手、野原など、身近で目にします。
車の排気ガスにさらされたり、犬の散歩道になっている場所は避け、きれいな環境で摘むようにしましょう。
採取の際は、根元から手で摘み取ります。
ツクシはしなびやすいので、すぐに持ち帰ります。
ツクシ・スギナの調理方法
- ツクシ:おひたし、天ぷら、炒め物、和え物、煮物、漬け物など
- スギナ:お茶、炒め物、煮びたし、ふりかけなど
ツクシもスギナも、生では食べません。
アクが強いので、したごしらえをします。
ツクシ・スギナのシンプルな調理法を紹介します。
したごしらえ
●ツクシ:
はかまを取り除きます。ひとつひとつ、茎を回しながら外していきます。
面倒、茎が短くても構わないという場合は、はさみで節部分を切ってしまいます。
また胞子の入っている頭の部分は苦いので、苦手な人は取り除きましょう。
重曹または酢を少量加えた熱湯で軽く茹でて水にさらします。
●スギナ:
塩ひとつまみ入れた熱湯で10分ほど茹で、水に15分さらします。
お茶にする場合は生で使うこともできます。
ツクシもスギナも茹でておひたしにします。
一緒に盛ると二色がきれいに見えます。
②炒め物
ツクシはしたごしらえをしてからサラダ油で炒め、醤油や麺つゆの素などで味付けをします。
シャキシャキともやしのような食感で食べやすくなります。
花粉症が軽くなるという人もいるようで、試す価値はありそうです。
③スギナのふりかけ
若い芽を刻んで炒めて、かつお節とあわせて甘辛味にするとおいしいふりかけになります。
④スギナ茶
市販されていますが、自分で作ることもできます。
採取したら陰干しにし、茹でて煮出します。生のまま急須にいれても。
むくみ解消、利尿作用があるといわれています。
スギナ茶は一緒に服用している医薬品の効果に変化がある場合があります。
30分から1時間おいて飲むようにしましょう。
スギナの薬効
薬効に関しては、あくまで参考程度に記載しています。
ツクシは栄養食となり、スギナは生薬では門荊(もんけい)と呼ばれています。
4月ごろの地上部を採取し乾燥させたものになり、利尿作用効果が有名です。
他にも、以下の効能があるとされています。
- 去痰、回虫駆除:スギナの若葉やツクシを摂取する。
- 眼精疲労:スギナを濃く煎じて布に浸し目に当てる。
- 漆かぶれ、切り傷、老人性皮膚掻痒症:スギナの生葉の絞り汁を患部に塗布する。また風呂に入れると更に効果的。
参考になる本の紹介
この記事は以下の本などを参考にさせていただきました。
より詳しい情報やレシピ、写真などが掲載されておりますので、よろしければご覧ください。