タンポポの食べ方や楽しみ方【食べられる山野草】

食べられる野草・山菜

春の代名詞であるタンポポが食べられることは、今は当たり前のように知られています。
タンポポコーヒーが流行った時期もあり、商品化もされています。
しかし実際に普段食用に利用する人はほとんどいません。

改めてタンポポについて、どのように食べられるか調べたことをまとめました。

タンポポの基本情報

  • タンポポ(蒲公英):キク科タンポポ属 多年草
  • 別名:クズナ、フジナ、タンホホ、デデポポ、グチナタナ、タンボコなど多数
  • 自生地:日本各地
  • 開花時期:3~5月(在来種)、一年中(セイヨウタンポポ)
  • 栄養成分:ミネラル(鉄・カルシウム)、ビタミンA

 

タンポポの特徴

花は黄色の舌状花で、夕方にはしぼみます。
茎や葉などを傷つけると白い乳液がでます。

タンポポの名は、能舞台で打つ鼓の音のタンポンからと言われています。

セイヨウタンポポは元は明治時代に野菜として輸入され、野生化しました。
セイヨウタンポポは在来種と異なり、単為生殖(受粉しない)で種子ができます。
そのため、在来種を駆逐する勢いで繁殖しているといわれてきましたが、実際は在来種と外来種の雑種が多いことが分かってきました。
しかし純粋な在来種はやはり少なくなってきています。

日本各地に20種ほどが生育していますが、どの種も同じように食べられます。

下の写真は、道路の植え込みに紛れている外来種のブタナ
呼び名の由来はフランス語Salade de Porc(豚のサラダ)の日本語訳から。
花茎がとても長いのが特徴で、葉はタンポポより肉厚で両面に毛が生えています。

 

 

セイヨウタンポポと在来種の見分け方

外来種は一年中咲きますが、在来種の開花期は春のみです。

また、よく言われるのは花の総苞(そうほう)片が反り返っているものはセイヨウタンポポ。
在来種はみな総苞は上を向いています。

例外として在来種のシロバナタンポポの総苞は、花の終わるころには反り返ります。

 

タンポポの食べられる部位

タンポポは在来種も外来種も関係なく全草食べられます。
ヨーロッパでは昔から、タンポポの葉をハーブのようにして食べます。
アクの強い野草なので、しっかりアク抜きします。

 

タンポポの採取時期は一年中

タンポポには苦味があります。
12~4月ごろのタンポポの葉は苦味が少ないので食べやすいです。
外側のかたい葉ではなく、中のほうの柔らかい葉を使います。
小刀などで根の際から切り取ります。

開花期には花も摘みますが、つぼみであれば苦味は強くありません。
花はしおれやすいので、採取した日のうちに処理します。

根は一年中採取できますが、薬用としては開花寸前のものを。
シャベルで掘り出して土を落とします。

 

タンポポの採取場所と注意

※場所により、いまだに放射線量の高い地域もあります。
自治体の情報をご確認の上、安全を判断してください。

日本全国の日当たりの良い原野、道端、公園、土手などどこにでも生えます。
食用には、できるだけきれいな環境のものを摘みましょう。
木陰など、半日陰のものが柔らかく食べやすいです。

採取時、刃物で切り採ると白い汁が出るので、手袋などがあると良いです。

 

タンポポの調理方法

タンポポは部位によってさまざまな調理法があります。

  • 葉:天ぷら、おひたし、和え物、炒め物、汁の実、サラダなど
  • 花:サラダ、酢の物、天ぷら、タンポポ酒など
  • 根:タンポポコーヒー、きんぴら、炒め物、味噌漬け、かき揚げなど

生で食べられます。
採取時期により苦味を強く感じる時は、下記のようにしたごしらえをしましょう。

ここでは、タンポポのシンプルなおすすめ調理法を紹介します。

したごしらえ 
塩ひとつまみ入れた熱湯で5分茹で、水に7~8分さらします。
一度では抜けないことがあるので、試食しながら何度も水を替えて確認します。
苦味が抜けきらない場合でも、油で調理すると食べやすくなります。また、八丁味噌のような濃い味のみそにも合います。

①天ぷら 
葉は生のまま、片面のみ衣をつけて高温でサッと揚げて天ぷらに。
花やつぼみも天ぷらにできます。

②和え物 
葉はしたごしらえをしてから味噌和え、白和え、ごま和え、からし和えなどに。

③サラダ 
タンポポは生食できます。
開花前の若い葉を使えば苦味は弱いです。
季節の野菜と合わせて好みのドレッシングをかけて。

④根のきんぴら 
苦味はありますがおいしいです。
根はよく洗い、適当な長さに切り揃え、根の中の硬い芯も取り除きます。
ごぼうのきんぴらと同じように調理します。

 

タンポポコーヒーの作り方

体にやさしいノンカフェイン。
市販のものもありますが、手間をかけて自分で作ってみてもいかがでしょうか。

タンポポの根は、株ひとつはあまり太くないので、沢山集めなければいけません。
掘る作業は大変ですが、庭や敷地の雑草取りついでに楽しみを作ってみましょう。

  1. 掘り出した根をよく洗います。土がこびりついているので手間をかけて。
    (手荒れしてしまうのでゴム手袋を使った方が良いです。)
  2. 小さく刻んで天日干しで乾燥させます。
  3. 乾燥したらフライパンで炒ってコーヒー(紅茶)にします。
    コーヒーのような香りはせず、焦げたような少し甘く感じるような匂い。
    焙煎の程度で色の濃淡が変わりますが、深煎りにするとコーヒーらしさが出ます。
  4. 飲む時はコーヒーフィルターを使って。

タンポポの薬効

薬効に関しては、あくまで参考程度に記載しています。

タンポポは生薬として蒲公英根(ほこうえいこん)と呼ばれています。
蒲公英根は開花前に掘り出した根を水洗いして干したもの。
健胃、胆汁分泌、強壮などに、また鉄分も含んでいますので、貧血にもよいとされています。

タンポポを傷つけると出る白い汁は、いぼやしもやけ、腫瘍に塗布すると効くともいわれます。

 

参考になる本の紹介

この記事を書くにあたって以下の本を参考にさせていただきました。
より詳しい情報やレシピ、写真が掲載されていますので、ぜひご覧ください。

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