春の山林で、すずらんのように花をいくつも垂れ下げる清楚な白い花を見かけます。
アマドコロという植物でした。
そんなアマドコロが食べられるとのことで、調べたことをまとめてみました。
アマドコロの基本情報
- アマドコロ(甘野老):キジカクシ科(ユリ科)アマドコロ属 多年草
- 別名:エミグサ、キツネノチョウチン、ヘビスズラン、ナルコ、ヤマドロなど
- 自生地:北海道~九州、朝鮮、中国
- 開花時期:4~5月
- 成分:粘液にオドラタンやフルクタンを含む
アマドコロの特徴
全国に広く分布しています。
栄養豊富で、昔は救荒植物として凶作時に利用されました。
名前の由来は根茎に甘みがあり、ヤマイモ科のオニドコロに似ていることから。
草丈は高くなると80cmほどにもなり、先のとがった楕円形の葉を互生し弓なりに垂らします。
4~5月に筒状の、緑がかった白色の花を垂れ下げます。
花が終わり9月ごろ、1cmほどの黒い実がつきます。
根は太い地下茎で横に長く伸ばし、年ごとに節を作っていきます。
アマドコロには様々な種類があり、オオアマドコロやヤマアマドコロも食用になります。
同じ仲間のナルコユリやオオナルコユリ、ミヤマナルコユリなども含め同様に使えます。
アマドコロに似ている毒草
アマドコロが若芽のころは、毒草のホウチャクソウに似ています。
誤食すると嘔吐を引き起こすことがあります。
見分け方は根を確認します。
アマドコロやナルコユリは太い地下茎がありますが、ホウチャクソウは根元から細かく枝分かれしています。
引き抜かず、指を差し込んで感触で判断します。
アマドコロの食べられる部位
葉が丸く巻いている若芽を土の中の白い部分から小刀などで採ります。
花も手で摘み集めて食べられます。
根はスコップを使うか、茎を引っ張って抜き取ります。
アマドコロの採取時期
若芽や花は3~5月。
関西以西では3月、関東・中部では3~4月、北海道・東北では4~5月が採取の適期。
根は一年中採取できますが、薬効を期待する場合は夏から秋が最適です。
アマドコロの採取場所と注意
※場所により、いまだに放射線量の高い地域もあります。
自治体の情報をご確認の上、安全を判断してください。
草原、山地の樹林下の肥沃な木陰に群生しているのが見られます。
また花に風情があることから、園芸種もあります。
根茎をイモのように切って簡単に増殖させることもできます。
庭や畑などで育ててみるのもおすすめです。
アマドコロの調理方法
- 若芽:おひたし、和え物、炒め物、天ぷら、汁の実など
- 花:酢の物、和え物、ゼリーなど
- 根:煮物、天ぷら、油炒め、とろろ汁、キムチ、薬酒など
アマドコロの若芽や花は傷みやすいので、早めに調理します。
あくは少ないですが、したごしらえをします。
若芽をすぐに食べる場合は、生のままバター炒めや天ぷらにできます。
用途の広いアマドコロのシンプルなおすすめ調理法を紹介します。
したごしらえ
若芽や花は塩ひとつまみ入れた熱湯で軽く茹で、冷水に浸します。
①若芽のおひたし
甘みがあるので、素材の味を楽しめるおひたしはおすすめ。
歯触りも良く、アスパラガスのような味わいです。
②花の酢の物
サッとゆがいてさっぱりとした味を楽しめます。
③アマドコロ茶
全草を乾燥させたものはお茶の代わりになります。
少し煎って焦げ目をつけます。
アマドコロの薬効
薬効に関しては、あくまで参考程度に記載しています。
アマドコロは生薬では萎蕤(いずい)、玉竹( ぎょくちく)と呼ばれています。
以下のような薬効があるといわれています。
- 湿疹、ねんざ、腰痛、シミ、そばかす:
民間療法では根茎をすりおろして塗布する。 - 滋養強壮、解熱、消炎、鎮咳剤、胃炎、胃潰瘍など:
乾燥させた根茎を煎じて服用します。
参考になる本の紹介
記事の作成にあたって、以下の本を参考にさせていただきました。
より詳しい情報やレシピ、写真などが掲載されていますので、ぜひご覧ください。