七草粥だけじゃない、セリのおいしい食べ方【食べられる山野草】

七草粥だけじゃない、セリのおいしい食べ方【食べられる山野草】

3月の自然公園の湿地で何かを掘っているおじさんがいました。
話しかけるとセリ採りの最中で、終わるとご機嫌な様子で持ち帰っていました。

春の七草であるセリの、調べたことをまとめました。

セリの基本情報

  • セリ(芹):セリ科セリ属 多年草
  • セリの別名:タゼリ、オカゼリ、アカゼリ、ミズゼリ、ノゼリ、ネゼリなど多数
  • 自生地:北海道~九州
  • 開花時期:7~8月
  • 栄養成分:ミネラル、ビタミンB₁、ビタミンC、食物繊維など

セリの特徴

日本原産で、名前の由来は競り合うように生えることから。

太い地下茎の節から根を出して増えます。
11月ごろから葉が伸び始め越冬し早春に生長しはじめます。
葉は長楕円形で縁に荒いギザギザがあり、特有の香りがあります。
夏には白色の小花をつけます。

宮城や茨城にはセリの栽培農家が多く、国内の生産量の半数以上を占めます。

セリの食べられる部位と採取時期

若芽と根が食用になります。

採取時期は早春から春
場所によっては早ければ1月から生えますが、3月末~5月ごろまでが旬の時期です。
適期を過ぎると香りが変わってしまいます。

セリの採取場所と注意

※場所により、いまだに放射線量の高い地域もあります。
自治体の情報をご確認の上、安全を判断してください。

平地から山野の、日当たりの良いあぜ道や溝、川岸、湿地などに群生します。

若芽を茎の根元から刃物で切ります。
根も食用になりますが、絶やさないようにほどほどに採取しましょう。

葉はキアゲハの幼虫が好みます。
虫が苦手な人は注意。

毒草のドクゼリやキツネノボタンとの違い

セリと同じ場所に生えることの多い毒草、ドクゼリとキツネノボタン。
新芽だけ見るとそっくり。
セリとの違いをまとめました。

ドクゼリ 
誤食で嘔吐、呼吸困難などを引き起こし、最悪の場合死に至ります。

  • 根が違う 
    セリは白いひげ根ですが、ドクゼリは根が太く緑色でタケノコのような形。
    切ると黄色い汁が出ます。
  • 香りが違う 
    セリ特有のさわやかな香りがありません。
  • 草丈が違う 
    セリは20~50cmほど、ドクゼリは100cmにもなる。
    (草丈は生長しないと分かりにくいかもしれません。)

キツネノボタン 
誤食すると口の中や消化器系に炎症を起こし、多食で死に至ります。
また茎葉の汁に触れるとかぶれます。

  • 香りが違う 
    キツネノボタンはセリのような香りがありません。
  • 茎が違う 
    キツネノボタンはセリよりもがっちりして茎に毛が生えています。
  • 花が違う 
    セリの花は白い小花ですが、キツネノボタンは夏に黄色い五弁花を咲かせます。
    (夏にならないと分かりません。)

セリの香りが分からない人が新芽で判断するとしたら、ドクゼリは根を確認、キツネノボタンは茎を見る、なんて判断もありますが、やはりどちらも猛毒なので疑わしい場合は採取しないこと。

セリの調理方法

採取したら水洗いし、汚れた葉や黄ばんだ部分を取り除きます。
濡らした新聞紙などでくるみ、ビニール袋に入れて冷蔵保存し早めに使います。

冷凍保存する場合は、軽く茹でて水にさらし、水気をとります。
その後小分けにしてラップに包み、ジップロックなどで密閉します。
香りは落ちます。

  • 若芽:お吸い物、おひたし、和え物、サラダ、天ぷら、炒め物など
  • 根:きんぴら、揚げ物など

セリは生食できますが、5月以降は虫がつくのでしたごしらえを
生で少し食べてみて、アク抜きが必要か判断しても良いでしょう。

ここでは、したごしらえからおすすめの使い方を紹介します。

したごしらえ 
香りが消えてしまわないよう、茹ですぎないようにします。
苦味が強いと感じたら、重曹を使います。

①おひたし 
セリの香りと歯触りを楽しめます。
また薬用として痰切りや食欲増進、お通じをよくするそうです。

②葉を入れたお粥 
炊きあがったお粥に、したごしらえして刻んだセリを入れます。
緑鮮やかで香り豊かなセリ粥になります。

③根のきんぴら 
白い根はきんぴらにすると、ごぼうのような味わい。
細い根がばらけないように切ります。

セリの薬効

薬効に関しては、あくまで参考程度に記載しています。

セリは自然の中では春の貴重な栄養源ですが、民間の薬用としても使われてきました。
生薬としては水芹(すいきん)と呼ばれ、以下の効果があるといわれています。

  • 食欲増進、解熱、神経痛、リウマチなど:水芹を煎じて服用します。
  • 健胃、風邪、解熱:新鮮な葉や茎を青汁にして飲む。

 

参考になる本の紹介

記事を作成するにあたって、以下の本などを参考にさせていただきました。
より詳しい情報やレシピ、写真が掲載されていますので、ぜひご覧ください。