小学生の頃、近所の子たちとノビル掘りをした思い出があります。
みんなで夢中になって掘り出すのが楽しかった。
掘ったノビルはその日のうちに夕飯の食卓に上がりました。
味噌をつけて食べましたが、子どもにとってはヒリヒリと辛い味・・・。
もしまたノビルを掘ることがあれば、他の食べ方も試してみたいですね。
そう思い、調べたことをまとめてみました。
ノビルの基本情報
- ノビル(野蒜):ユリ科ネギ属 多年草
- 別名:ヒル、ノノヒル、ヒルナ、タマビル、ネビル、ネブリ、ヒリコなど多数
- 自生地:日本全土
- 開花時期:6~7月
- 栄養成分:ミネラル(カリウム、リン)、ビタミン、食物繊維
ノビルの特徴
日本各地の日当たりの良い野原や畑地、土手などに群生しています。
地中の白色の鱗茎は球状で1~2cm。
葉は晩秋から伸び出し、柔らかく細長い線状で縦にへこみがあり、30cmほどに生長します。
6~7月ごろに花茎を伸ばし、先端に白紫色の小花を球状に集めて咲かせます。
その後にできる黒紫色のむかごが成熟して落ち、根付きます。
ノビルは鱗茎の分球でも増えるので、結果的に密生することになります。
全草にネギのようなニラのような臭いがあります。
名前の由来は、野にあるヒル(ネギやニンニクなどの総称)の意。
古くからある植物で、古事記や万葉集にも漢字の野蒜の名が登場します。
ノビルの食べられる部位と採取時期
若葉を鱗茎ごと掘り出します。
関西・中国・四国・九州では2~3月、関東・中部では3月、東北では3~4月、北海道は4月ごろが適期です。
日当たりの良い暖地では2月ごろからも採取も可能です。
夏には貧弱になってしまいます。
6~7月の、花後のむかごも食用になります。
ノビルの採取場所と注意
※場所により、いまだに放射線量の高い地域もあります。
自治体の情報をご確認の上、安全を判断してください。
人の生活圏に生えるので、都心の緑地にも見られます。
公園の片隅や空き地などでも見つけることができます。
鱗茎を採取する時は、手で引っ張ると切れやすいのでシャベルで傷つけないように掘ります。
掘り出した鱗茎が小さい時は、埋め戻します。
また細い葉が密生している株は鱗茎は小さいので、葉だけを採取するようにします。
ノビルのネギの臭いをたよりに他の野草と区別しますが、摘んでいくうちに香りが手に移ってしまい判断しにくくなってしまいます。
誤って毒草を摘まないように、間に他の野草に触れるなどしましょう。
採取したものは、鱗茎つきのものと葉だけのものと分けます。
それぞれを湿った新聞紙などで包んでビニール袋に入れて冷蔵保存すると長持ちします。
毒草のタマスダレやヒガンバナ、スイセンの葉に似ているので注意。
これらにはネギのような臭いはありません。
以下の写真はタマスダレ。
ノビルの調理方法
ネギに似た香りのノビルですが、用途はネギよりも多く、さまざまな料理に使えます。
- 鱗茎:生食、焼き物、炒め物、和え物、漬け物、揚げ物、汁の実など
- 若葉:おひたし、和え物、天ぷら、炒め物、ぬた、雑炊など
- むかご:炒め物、薬味、卵焼きなど
生でも食べられ、アク抜きの必要はありませんが、したごしらえをすることで辛みが消えます。
ここでは、ノビルのシンプルなおすすめ調理法を紹介します。
熱湯で茹でて冷水にさらします。
①鱗茎の生食
ノビルの代表的な食べ方。
味噌と相性が良く、またおかか和えもおいしいです。
②焼きノビル
鱗茎を焼いて食べると、とろりとした食感と甘みを感じられます。
③むかご入り卵焼き
したごしらえをしたむかごを溶き卵に入れて卵焼きを作ります。
辛みは無く、サクサクした歯ごたえ。
ノビルの薬用効果
薬効に関しては、あくまで参考程度に記載しています。
生薬では山蒜(さんさん)と呼ばれるノビルは栄養価が高く、滋養強壮、食欲増進に効果的。
他にもノビルには様々な薬効があります。
- 健胃、整腸、気管支炎、月経不順:鱗茎を生食か黒焼粉末にして服用します。
- 打ち身、虫刺され、火傷、肩こり:生の葉を絞った汁か、鱗茎の黒焼粉末をヒマシ油などで練って患部に塗布します。
ノビルを気軽に食べる方法
「ノビルを食べてみたいけど、探しに行くのは面倒」
「近くでノビルを見つけられない」
という方は、通販で購入することもできます。
購入時期は決まっており、値段も少し張ってしまいますが、確実に手に入れることができます。
また、ご自宅の庭で育ててみたい方はこちら。
雑草のように強いノビルなので、気軽に扱うことができます。
参考になる本の紹介
この記事を書くにあたって、以下の本などを参考にさせていただきました。
より詳しい情報やレシピ、写真が掲載されていますので、ぜひご覧ください。