初夏に咲き始めるハスは見応えのある花として、観光地などでは多くの人が観賞に訪れます。
根の部分は蓮根として知られていますが、もっと食用のバリエーションは豊富。
そんなハスの採取や食用としての楽しみ方をまとめてみました。
ハスの基本情報
- ハス(蓮):ハス科ハス属 多年草
- 別名:ハチス
- 自生地:北海道~九州
- 開花時期:7~8月
- 栄養成分:蓮根にビタミンC、食物繊維など 蓮実に炭水化物、たんぱく質、カリウムなど
- 薬用効果:滋養強壮、通経、利尿、下痢、各種出血、神経衰弱など
ハスの特徴
仏事には欠かせない、インド原産とされる多年生の水生植物。
日本には稲作の頃にもたらされたと言われています。
古くから池や沼などで栽培され、それが野生化したものもあります。
春に地下茎から芽を出します。
地下茎や茎には通気の穴が通っています。
葉は撥水性があり、最初に出てくる葉は浮き葉となります。
その後に長い葉柄を伸ばし40~50cmにもなる葉を水上に広げます。
夏の開花期には花茎を出し、薄紅色の大形の花を一輪咲かせます。
花は朝日とともに開花し、午後3時ごろになると閉じます。
これを繰り返し、4日目に散ります。
花後、花床の穴の中に果実を結びます。
ハスは万葉集にも登場し、当時はハチスと呼んでいました。
これは、花後の花托(かたく)の姿が、蜂の巣に似ていることが由来。
のちに短縮され、ハスと呼ばれるようになりました。
ハスの食べられる部位と採取時期
日本では蓮根を主に食用にしていますが、中国や熱帯アジアなどでは実や花托も利用しています。
11月~翌年2月ごろの根茎、7~8月ごろの花、8~11月ごろの実を食用にします。
実は花床ごと採取します。
また、若い葉も使うことができます。
ハスの採取場所と注意
※場所により、いまだに放射線量の高い地域もあります。
自治体の情報をご確認の上、安全を判断してください。
全国各地の沼地や水田に生え、基本的に栽培されていることが多いハス。
放置された場所なのか所有者がいるのかを必ず確認しましょう。
採取するには水の中に入らなければならないので、相応の準備をします。
ハスの調理方法
ハスは部位によって利用方法が異なります。
- 葉:お粥、ご飯の包みなど
- 花:サラダ、シロップ煮、ジャムなど
- 実:お粥、炊き込みご飯、砂糖漬けなど
- 花托:煮物など
- 蓮根:煮物、酢の物、炒め物など
ここでは、ハスのシンプルなおすすめ調理法を紹介します。
したごしらえ
蓮根は強いアクがあるので、ゆがいて水にさらします。
①お粥
葉は茹でてから刻み、お粥に入れます。
滋養強壮に効果があります。
また、若い実も使えます。
②砂糖漬け
花托に入っている緑色の実を取り出し、砂糖漬けにします。
柔らかく、おいしいスイーツに。
③花のサラダ
花びらは生食できます。
洗ってそのまま使うか、茹でてから食べます。
ハスの薬効
薬効に関しては、あくまで参考程度に記載しています。
ハスは生薬では「蓮根(れんこん)」「蓮実(れんじつ)」「荷葉(かよう)」と呼びます。
部位により様々な薬効があるといわれています。
- 滋養強壮:実を炒り食すか、花の乾燥粉末を服用します。
- 下痢止め:実を煎じて食後に服用します。
- 解毒、止血:葉を煎じて服用します。また漆かぶれは煎液で洗います。
- 歯痛、火傷:葉を黒焼きにし、ごま油で練って患部に塗布します。
- しもやけ、あかぎれ:花托を潰して患部に塗布します。
参考になる本の紹介
この記事を書くにあたって、以下の本などを参考にさせていただきました。
より詳しい情報やレシピ、写真が掲載されていますので、ぜひご覧ください。