草餅の原料がヨモギということはよく知られています。
早春に若芽を出し、暖かくなるとぐんぐん育ちます。
有用植物なのに繁殖力が旺盛なため、ちょっと困った雑草という扱いも。
改めて食用としてのヨモギの、調べたことをまとめました。
ヨモギの基本情報
- ヨモギ(蓬):キク科ヨモギ属 多年草
- 別名:モチグサ、サシモグサ、フツ、ヤイトグサ、モグサ、ヨゴミ、ダンゴグサなど
- 自生地:日本全土
- 開花時期:9~10月
- 栄養成分:ビタミンK、カロテン、食物繊維、精油
ヨモギの特徴
道端や畑、土手、野原など、身近で目にしやすい植物。
沖縄ではフーチバーと呼ばれ、日常の野菜として一年中売られています。
冬場には枯れますが、2~3月ごろに再び細かい白毛におおわれた根出葉を出します。
春には茎を伸ばし、草丈が1mを越えることも。
葉は表面は緑色、裏側は白色の毛を密生させ、葉は夜になると立てて閉じます。
夏の終わりから秋には、穂状で黄褐色の小さな花をつけます。
花は葉よりも控えめな香りで甘苦い。
古くから親しまれてきたヨモギは『万葉集』に「余母疑」として書かれています。
名の由来は、よく茂り広がる「四方草」や、モグサとしてよく燃えるから「善燃草」、「善萌草」などの説があります。
また、モチグサという別名は、草餅にすることから。
ほんのりと良いキク科特有の芳香は、魔除けの力を持つと信じられいました。
ヨモギの類似植物
ヨモギの仲間にオトコヨモギ、ホソバノオトコヨモギがありますが、これらも食用にできます。
また、北国の山地に育つ大型のオオヨモギも食べられますが、香りも苦味も少なく、通常は食べません。
干して入浴剤として使えます。
他の類似植物で多食しないほうがよいものにブタクサがあります。
同じキク科で間違うこともありますが、葉を観察すると違いがあります。
ヨモギの葉は互生して葉の裏に白い毛が密生していますが、ブタクサの葉は対生で葉柄が長く、葉先も丸みがあります。
ヨモギの新芽の頃は、毒草のトリカブトと似ています。
ヨモギの特徴である香りと葉裏の毛の有無をよく確認しましょう。
以下の写真はヤマトリカブトです。
ヨモギの食べられる部位
食用部位は新芽と茎葉です。
早春の新芽は草餅に用いられ、栄養的にも優れています。
天ぷらなどには初夏までの柔らかい葉を。
茹でると量が目減りするので、多めに採取します。
葉がばらけないよう、ハサミなどで切り取ります。
お茶にする場合は全草採取します。
ヨモギの採取時期
おすすめの採取時期は早春から初夏。
質の良いものは春先の新芽。香りが良く柔らかく、苦味もほとんどありません。
2~3月ごろに草丈が5~6cmまでのものを採取します。
背丈が伸びてくると、上部は柔らかく香りも良いですが、苦味も強くなります。
この頃のものは草餅には向きませんが、天ぷらやお茶などにするのが良いです。
暖かくなるとアブラムシがつきやすくなるので、注意して採取します。
ヨモギの採取場所と注意
山地、市街地を問わず、日当たりの良いところに生えています。
繁殖力が強く、道端にも生えていますが、車の排気ガスにさらされたり、犬の散歩道になっている場所は避け、きれいな環境で摘むようにしましょう。
※場所により、いまだに放射線量の高い地域もあります。
自治体の情報をご確認の上、安全を判断してください。
もし不安な時は、ヨモギ風呂に使うと良いでしょう。
ヨモギの調理方法
- 若芽、葉:天ぷら、草餅、茶、薬など
早春の若芽はあくが少ないので、したごしらえは必要ありません。
ヨモギは天ぷらや草餅にするのが一般的。
おひたしや炒め物にすると口の中に繊維質が残って飲み込みにくいです。
ヨモギのシンプルな調理法を紹介します。
したごしらえ
生長したものは塩ひとつまみ加えた熱湯で10分ほど茹で、水に20分さらしてあくや苦みをとります。
多く採取した時は水気をとり冷凍保存できます。
重曹を使う場合は入れ過ぎるとヨモギが溶けてしうので注意。
茹でた後、重曹の苦味が残らないようよく洗い落して。
①葉の天ぷら
春菊の天ぷらに似ていますが、ヨモギの独特の香りがあります。
薄く衣をつけて中温の油で揚げて。
②ヨモギ茶
春先の若葉は生のまま使えます。
ポットに葉を入れて熱湯を注いでできあがり。
生長した葉は、風通しの良い所で完全に乾燥させてから使います。
保存もでき、一年中使えます。
③ヨモギ味噌
茹でて刻み、更にフードプロセッサーやすり鉢で潰し、白味噌、みりん、塩で味付け。
④ヨモギシュガー
細かく刻んだヨモギに砂糖をかぶせ、手早くすり混ぜペースト状にします。
※時間をかけてすると黒いアクが出て苦味が強くなります。
※思いつきでヨモギチョコを作ってみた記事はこちら。
ヨモギの草餅の作り方
草餅の作り方をまとめてみました。
- 若芽のヨモギをきれいに洗い、やや硬めに茹でます。
- 水を切って、よもぎをフードプロセッサーやすり鉢で細かくすりつぶします。
- これらを白玉粉、水と合わせて混ぜます。
- 耳たぶほどの硬さになりまで練ります。
- 団子状に丸めたら蒸し器で蒸します。
- きな粉やあんこなどをつけていただきます。
ヨモギの薬効
薬効に関しては、あくまで参考程度に記載しています。
初夏にヨモギの葉を陰干しにしたものを、生薬では艾葉(がいよう)と呼ばれています。
お灸で使われるモグサは、乾燥したヨモギを細かく砕きふるいにかけ、葉肉を除き葉裏の白毛だけを集めたもの。
また生葉にも薬効があるとされています。
薬用効果
- 止血、虫刺され、腫れ物:生葉汁を塗布または生葉を揉んで患部に貼ると、切り傷、止血、虫刺され、打撲、腫れ物に効果。
- 高血圧、でき物:生葉汁を服用すると高血圧、赤痢、下痢、でき物に効果。
- あせも、肩こり、腰痛、神経痛、冷え性の改善:乾燥させたヨモギを布に包んで風呂に入れる。
※優れた薬効があるヨモギですが、実は茹でて水にさらすと効果が弱くなるといわれています。
参考になる本の紹介
この記事を作成するにあたって、以下の本などを参考にさせていただきました。
より詳しい情報やレシピ、写真などが掲載されていますので、ぜひご覧ください。