初夏に田んぼのあぜ道や野原などで、鮮やかなオレンジ色の花を見かけます。
野草とは思えない存在感のあるヤブカンゾウやノカンゾウ。
どちらも食用として利用できますが、ここではヤブカンゾウをメインに、ノカンゾウとともに調べたことをまとめました。
ヤブカンゾウの基本情報
- ヤブカンゾウ(藪萱草):ユリ科ワスレグサ属 多年草
- 別名:カンゾウ、ワスレグサ、ピッピグサ、ピヨピヨ、オニカンゾウ、ノカンピョウなど多数
- 自生地:北海道~九州
- 開花時期:7~8月
- 栄養成分:鉄分、カロテンなど
- 薬用効果:健胃、整腸、黄疸、浮腫など
ヤブカンゾウの特徴
元々は古代に中国から渡来した帰化植物で、栽培されていたものが野生化しました。
同じ発音のカンゾウ(甘草)はマメ科で別種。
3月ごろから芽吹き、夏には草丈60~80cmまでに生長し群生します。
花は一日花で、太い花茎の先端にオレンジ色の八重咲きの花を咲かせ、翌日にはしぼみます。
しかし次の日には別のつぼみが次々と開花します。
同じ仲間のノカンゾウの花はヤブカンゾウと異なり一重の六弁花。
群生にはならず、全体的にヤブカンゾウに比べて小柄です。
また他にもニッコウキスゲ、ハマカンゾウ、トビシマカンゾウも同様に食用になります。
ヤブカンゾウの食べられる部位と採取時期
関東以西では3月、東北では3~4月、北海道では4月に地上部に出始めた新芽、若芽や若葉が採取できます。
10cmくらいの太い苗を選び、土中の白い葉軸部まで掘ります。
葉は左右二列に刀が重なるように生えているので、葉がばらけないように根元から切り取ります。
生長したものも、白い部分であれば利用できます。
新芽や若芽のころのヤブカンゾウとノカンゾウは見慣れていないと区別は難しいですが、どちらも味は変わりませんので同様の調理方法で食べられます。
また、つぼみや花も食用になり、6~8月ごろが適期です。
首の根元から摘み取ります。
花は朝に開き午後にはしぼみます。
傷みやすいので完全に開いている花は潰さないように容器に入れて持ち帰ります。
以下の写真はノカンゾウ。
ヤブカンゾウの採取場所と注意
※場所により、いまだに放射線量の高い地域もあります。
自治体の情報をご確認の上、安全を判断してください。
里山の田畑のあぜ道、林縁、土手、空き地などに自生します。
栽培種も存在します。
ヤブカンゾウの調理方法
部位によっておすすめの調理法があります。
- 新芽、若葉:おひたし、和え物、炒め物、天ぷら、汁の実など
- つぼみ、花:和え物、酢の物、天ぷら、炒め物、スープなど
※沢山食べ過ぎるとお通じが良くなりすぎることがあるので注意。
若葉は甘みとぬめりけがあり、花は大きいので食べごたえがあります。
ここでは、ヤブカンゾウのシンプルなおすすめ調理法を紹介します。
したごしらえ
熱湯でさっと茹でて水にさらします。
花は熱を加えてもあまり変色しません。
①炒め物
新芽、若葉は3cmくらいに切り、軽く炒めます。
バター炒めにすると風味を楽しむことができます。
②天ぷら
薄い衣をつけて揚げるとくせのない甘みを楽しめます。
花も姿のまま天ぷらに。
③酢の物
開きかけのつぼみを茹で、花びらが目立つようになったら冷水にとり水気を切ります。
酢、だし汁、塩、砂糖などを混ぜ、お好みで調味します。
ヤブカンゾウの薬用効果
薬効に関しては、あくまで参考程度に記載しています。
ヤブカンゾウのつぼみを熱湯で茹でた後に乾燥させたものを、生薬では「金針菜(きんしんさい)」と呼びます。
利尿作用があり体に不要なものを排出するので、浮腫、黄疸、血便を直すのに効果があると言われています。
※市販されている中華食材の金針菜はホンカンゾウ(シナカンゾウ)のつぼみを使用しています。
ヤブカンゾウを気軽に楽しむ方法
「ヤブカンゾウを庭や畑に植えてみたい」
という方には、通販で苗を購入することもできます。
このお店では、育て方などの記載もされていますので、安心して購入することができます。
参考になる本の紹介
この記事を書くにあたって、以下の本などを参考にさせていただきました。
より詳しい情報やレシピ、写真が掲載されていますので、ぜひご覧ください。