草原など雑草の多い場所を歩くと、服に植物の種が付くことがあります。
その中で、ひっつき虫とも呼ばれる種をもつイノコズチ。
普通の雑草のように見えますが、食用や薬用にも利用され、栽培もされるとのこと。
そんなイノコズチの、調べたことをまとめました。
イノコズチの基本情報
- イノコズチ(猪子鎚):ヒユ科イノコヅチ属 多年草
- 別名:トビツキ、ヌスビトハギ、ヤブジラミ、フシダカ、コマノヒザなど
- 自生地:本州~九州
- 開花時期:8~9月
- 薬用効果:腰痛、神経痛、関節痛、リウマチなど
イノコズチの特徴
イノコズチという名の由来は、茎の節にある太いふくらみの形から。
その形を鎚やイノシシの膝頭に見立てたことからといわれています。
イノコズチにはヒナタイノコズチとヒカゲイノコズチがあります。
普通、多くみられるのはヒナタイノコズチの方。
ヒナタイノコズチは名前の通り、日当たりの良い場所に生育します。
草丈は50~100cmほどになり、厚みのある葉は楕円形で先端が尖り、縁が波打っています。
全体に毛が生えており、特に若葉や花柄に毛が多く見られます。
夏の開花期の花は、穂状で緑色の小花をつけます。
9月ごろに胞果が熟成し、実のトゲが動物などにくっつき遠くへ運ばれていきます。
ヒカゲイノコズチは日陰に生えることが名の由来ですが、実際にはヒナタイノコズチと混生していることもあります。
草丈は高いもので150cmにまで生長することも。
ヒナタイノコズチとよく似ていますが、ヒカゲイノコズチは茎が細く、葉も薄いなどの違いがあります。
どちらも食用になりますが、食べやすいのはヒカゲイノコズチの方です。
イノコズチの食べられる部位と採取時期
5~7月ごろの若芽を摘み取ります。
この時期は伸び盛りで、葉がかたくなっている株も上部を刈り取るとまた新芽を出します。
また、開花前のつぼみも食用になります。
根は薬用として利用でき、一年中掘りだすことができます。
イノコズチの採取場所と注意
※場所により、いまだに放射線量の高い地域もあります。
自治体の情報をご確認の上、安全を判断してください。
原野や山道のわき、林縁や空き地の肥沃な場所に自生します。
イノコズチの調理方法
根には子宮収縮作用があり、昔は堕胎薬として使っていました。
妊娠中の方は多食しないようにしましょう。
- 若芽:天ぷら、おひたし、和え物、炒め物、酢の物、ふりかけなど
- つぼみ:天ぷらなど
- 根:お茶など
味は大味ですが、歯ごたえがあります。
ここでは、イノコズチのシンプルなおすすめ調理法を紹介します。
したごしらえ
塩を入れた熱湯で5~6分茹で、水に5分ほどさらします。
①天ぷら
若芽やつぼみは生のまま薄く衣をつけて天ぷらに。
もちもちした食感があります。
②炒め物
バター炒めなど好みの味に調味して。
歯ごたえをしっかり感じられます。
③お茶
若芽や根は小さく刻んで陰干しでお茶にもできます。
飲用前にから煎りします。
イノコズチの薬用効果
薬効に関しては、あくまで参考程度に記載しています。
ヒナタイノコズチの根を乾燥させたものを、生薬では「牛膝(ごしつ)」と呼びます。
また民間では全草を薬用として利用します。
これらには、以下の薬効があるとされています。
- 月経不順、月経閉止、産後の諸病、神経痛、腰痛、リウマチなど:牛膝を煎じて服用します。
- 尿閉、排尿痛など:全草の乾燥粉末を酒で服用します。
- 皮膚の炎症:全草の生葉汁や煎液を患部に塗布、または入浴剤として利用します。
※ヒカゲイノコズチの方は薬効はあまりないようです。
参考になる本の紹介
この記事を書くにあたって、以下の本などを参考にさせていただきました。
より詳しい情報やレシピ、写真が掲載されていますので、ぜひご覧ください。