飢饉の食糧 リョウブの採取と食べ方【食べられる山野草】

飢饉の食糧 リョウブの採取と食べ方【食べられる山野草】

古くは救荒植物として不作の時の食糧とされてきたリョウブ。
現在は行者の修行食として利用されているそう。

そんなリョウブの、調べたことをまとめました。

リョウブの基本情報

  • リョウブ(令法):リョウブ科リョウブ属 落葉小高木
  • 別名:ハタツモリ、サルスベリ、サルダメシ、ボーリョウ、ギョウブナ、ウラサクラなど
  • 自生地:北海道~九州
  • 開花時期:6~9月
  • 薬用効果:整腸

 

リョウブの特徴

里山から深山までに分布する落葉小高木で、8~10mにまで生長します。
幹は特徴的で、樹皮が剥げ落ちやすく、赤褐色と灰色のまだら模様になります。
太い木ほど幹がスベスベになる傾向があるため、サルスベリと呼ぶ地方もあります。
(同様に幹が似ているナツツバキやヒメシャラもサルスベリと呼ばれることも。)

良く枝分かれし、6月ごろから白い小さな5弁花を穂状に4~5本、上向きに咲かせます。
花後、5mmほどの実を結びます。

葉の形がサクラの葉に似ており、葉身の長さは6~15cmで、縁に粗い鋸歯があります。
9~12月には紅葉期を迎えます。
黄色、橙色、黄褐色、赤色などさまざまに色づき、しみができることも多く、すぐに褐色になります。

「リョウブ」という名の由来は、かつて救荒植物として採取と貯蔵の法令が出されたことから「令法(りょうぶ)」と呼ばれるようになった説や、花の形が龍の尾のように見え、「龍尾(りゅうび)」から変化した説などがあります。

木材からは工芸品や木炭なども作られました。

 

リョウブの食べられる部位と採取時期

4~5月の枝先の若芽が食用になります。
場所によっては6月ごろまで採取できることもあります。
生えぎわから摘み取ります。

また夏から秋までの花と実も食用となります。

 

リョウブの採取場所と注意

※場所により、いまだに放射線量の高い地域もあります。
自治体の情報をご確認の上、安全を判断してください。

公園や庭にも植えられることがあります。
野生のものは、主に山地の比較的乾燥した林のへりなどに生え、密生していることもあります。

 

リョウブの調理方法

  • 若芽:和え物、炒め物、煮物、天ぷら、佃煮、菜飯など
  • 花、実:天ぷらなど

品の良い香りと少し苦味のあるリョウブ。
ここでは、リョウブのシンプルなおすすめ調理法を紹介します。

 

したごしらえ 
塩ひとつまみを入れた熱湯で7~8分ほど茹で、冷水に15分さらします。

①煮物 
新芽や若葉をしたごしらえし、薄口醤油やみりんで味付けします。
汁が無くなるまでしっかり煮込みます。

②天ぷら 
生のまま、若葉や花穂をまるごと天ぷらにします。
独特の香味がスパイスのように感じられます。

③菜飯 
リョウブ飯とも。
若芽を塩茹でにしてご飯に混ぜます。
飢饉のときに食べられた方法で、沢山入れて増量させました。

 

参考になる本の紹介

この記事を書くにあたって、以下の本などを参考にさせていただきました。
より詳しい情報やレシピ、写真が掲載されていますので、ぜひご覧ください。