蛇(ウワバミ)が出そうな場所に生えることが由来のウワバミソウ。
ミズやミズナとも呼ばれるのは茎に水分が多いからだとか。
山菜としても知られているウワバミソウの、野草として調べたことをまとめました。
ウワバミソウの基本情報
- ウワバミソウ(蟒蛇草):イラクサウワバミソウ属 多年草
- 別名:ミズ、アカミズ、ミズナ、イワソバ、ヨシナ、シズクナ、タニフサギ、クチナワジョウゴなど
- 自生地:北海道~九州
- 開花時期:4~9月
- 栄養成分:ビタミンC、B1、B2、カルシウム、鉄、食物繊維など
ウワバミソウの特徴
山あいの渓流や湿った場所に生える、雌雄異株の多年草。
茎は多肉質でやわらかく、丈は30~50cm、時に1mを超えることも。
茎の色は、根元が赤いアカミズと、全体が緑色のアオミズがあります。
長楕円形の葉は縁にギザギザがあり、互生します。
初夏に葉の付け根に小さな黄白色の花を咲かせます。
雄株の花は葉腋から出た長い柄の先端に咲かせ、雌株の花は葉腋に球状にかたまります。
秋には茎の節がふくらみ、1cmほどのムカゴが葉のわきにつき、これが落ち、新しい株を増やします。
ウワバミソウは、東北地方で「ミズ」「ミズナ」と呼ばれ山菜として売られています。
名前がややこしいミズ属のミズとウワバミソウは別種。
ミズの葉は長い葉柄がありますが、ウワバミソウには葉柄はありません。
また京野菜の水菜は別物。
落語の演題「蕎麦清」「蛇含草」で蛇が食べる草はウワバミソウと言われています。
ウワバミソウの食べられる部位と採取時期
年中採取できますが、おいしいものは春から夏のもの。
地域別では、四国・九州地方は4~5月、関西・中国・関東地方は5月ごろ、中部地方は5~6月、北海道・東北地方では6月ごろが採取の適期。
なるべく太い茎を引き抜きます。
葉は、生長した葉はクセが強くなるので、若いものを摘み取ります。
また9~10月にむかごも採取できます。
ウワバミソウの採取場所と注意
※場所により、いまだに放射線量の高い地域もあります。
自治体の情報をご確認の上、安全を判断してください。
山地の湿り気の多い半日陰の場所に群生します。
西日本では少ないようです。
持ち帰ったウワバミソウは、根元を水に浸けるととろけてしまいます。
保存する時は涼しい場所に束ねて立て懸けておきます。
ウワバミソウの調理方法
- 茎:おひたし、とろろ、酢の物、和え物、炒め物、汁の実、煮物、天ぷら、きんぴらなど
- 葉:おひたし、和え物、天ぷら、お茶など
- むかご:一夜漬け、醤油漬けなど
茎の根元はぬめりがあります。これはムチンという成分によるもの。
ぬめり気のあるものは、酢と相性が良いです。
いろいろな料理に向くウワバミソウのシンプルなおすすめ調理法を紹介します。
したごしらえ
早春の茎はやわらかいので皮むきは必要ありません。
かたくなっていたら皮をむいてから、塩ひとつまみの熱湯で5~6分茹でます。
透き通った緑色になったら冷水に取り10分ほどさらします。
また赤紫色のムカゴも熱で緑色に変わります。
長期保存する場合、冷凍すると食味や風味が落ちます。
塩漬けがおすすめ。
①おひたし
したごしらえをしたものを4cmくらいに切っておひたしに。
シャキシャキした歯ごたえが楽しめます。
また三杯酢や酢味噌などにも合います。
②生でみずとろろに
良く洗って水気を切った茎の根元をいくつか集め、細かく切って包丁の背で叩きます。
さらにすり鉢でとろろ状にし、醤油で味付けをします。
③汁の実
新芽のやわらかい状態であれば葉ごとみそ汁の具になります。
④和え物
茎を1cm程度に切って納豆和えや辛味噌和えに。
茎とむかごも加えてごま和えにしても。
ウワバミソウの薬用効果
薬効に関しては、あくまで参考程度に記載しています。
- 虫刺され、切り傷、腫れ物:生の根茎を叩き潰した汁を患部に塗布します。
- 下痢止め、消化不良、黄疸:茎葉を食べるか煎じて服用します。
また、生のウワバミソウには癌に対する効果が期待される高変異原生が認められています。
気軽にウワバミソウを食べる方法
「ウワバミソウを食べてみたいけど、わざわざ採取しに行けない」
「採取する場所が見つからない」
という方は、通販で購入することができます。
購入時期が決まっていますが、確実に手に入れることができます。
また、ご自宅で育てることもできます。
お庭でも、鉢植えでも育てられます。
湿り気のある場所を好むので、お水を絶やさないなどの注意が必要ですが、生長を見守りながら収穫を待つ楽しみもできます。
参考になる本の紹介
この記事を作成するにあたり、以下の本などを参考にさせていただきました。
より詳しい情報やレシピ、写真が掲載されていますので、ぜひご覧ください。