日本では注目されることの少ない食用花。
しかし世界では古い時代からさまざまな花が貴重な食料として扱われてきました。
ここでは主にアメリカ大陸で利用されている食用花を紹介します。
アメリカハナズオウ
- 原産地:北米
- 開花期:春
- 調理法:生食、酢漬けなど
春の訪れを告げる花として親しまれるアメリカハナズオウ。
アメリカの先住民たちはこの花を生で食べたり、酢漬けにしてサラダや薬味に利用するそうです。
つぼみも酢漬けにするとケイパー(ケッパー)の代わりに。
若い鞘や種も食用に利用されます。
カボチャ
- 原産地:南北アメリカ
- 開花期:初夏~夏
- 調理法:生食、炒め物、揚げ物、スープなど
今日では世界各地で栽培されるカボチャは、元々は南北アメリカが原産。
カボチャの花は北米から南米まで広く先住民の伝統的な料理に使われています。
古くから栽培され、紀元前4000~3000年頃のペルーの出土品にも見つかっています。
カボチャの花の味は実と似ていますが、甘みがあります。
生のまま刻んでサラダやスープに入れたり、シチュー、フリッター(洋風天ぷら)、スフレ、ブリトー、インディアンの料理などに使われます。
次々と咲く花なので、実にする分を差し引いても沢山収穫できます。
ナスタチウム(キンレンカ)
- 原産地:南米
- 開花期:春~秋
- 調理法:生食、酢漬け、スープ、オムレツ、ポテトサラダなど
多くの食用花にはほとんど味がありません。
しかしナスタチウムにはオランダガラシ(クレソン)に似た辛味があります。
ビタミンAやC、Dを豊富に含み体にもよい食用花。
中南米の先住民はサラダや薬草に利用していました。
種や葉も食用になります。
かつてアメリカのアイゼンハワー大統領もナスタチウムの入ったスープを好んでいました。
ハイビスカス
- 原産地:ハワイ、マスカレン諸島ほか
- 開花期:6~10月
- 調理法:花茶、ジュース、ピクルス、スープ、ドレッシング、菓子など
ハイビスカスの花はハイビスカスティーとして利用されるだけではありません。
メキシコではアグアフレスカという庶民の飲み物に使われます。
花だけでなく、がくや茎も共に食べられます。
がくには酸味と柑橘系の風味があり、ソースや菓子、創作料理にも利用されます。
ハイビスカスティーにはビタミンCを豊富に含むほか、利尿作用や血圧を下げる効果もあります。
マグノリア(タイサンボク)
- 原産地:北米南部ほか
- 開花期:初夏
- 調理法:甘酢漬け
マグノリア(タイサンボク)は20m以上にもなる常緑高木。
白く美しい大きな花が咲き、この花びらのみが食用になります。
生では無く甘い酢漬けにして刻んで食べられるそうです。
花には強い芳香があり、化粧品の香料に使われます。
マリーゴールド
- 原産地:北米南西部~中南米
- 開花期:春~秋
- 調理法:生食、お茶、菓子など
インカやアステカの人々に親しまれてきた花。
野生のマリーゴールドは草丈90~120cmにもなるグアテマラの在来種。
花は香り高く、飲み物や香りづけ、民間療法、染料などに利用されてきました。
またメキシコでは死者の日を彩る花として祭壇に飾られるため、大量に栽培されています。
マリーゴールドの根には線虫の防除効果があり、コンパニオンプランツとして他の植物とともに植えられることもあります。
ユッカ
- 原産地:中米~北米
- 開花期:不定期
- 調理法:サラダ、卵料理など
ユッカの花にはビタミンとミネラルが多く含まれています。
つぼみが食用になり、ピリッとした酸味のある味。
アメリカの先住民族がさまざまな種類のユッカを好んで食べています。
ワイルドチャービル
- 原産地:北米東部~南部
- 開花期:6~7月
- 調理法:サラダ、天ぷらなど
セリ科で特有の香りがあります。
植物全体が食用に利用され、白い小花は調理してサラダに入れるそうです。
その他アメリカ大陸の食用花
写真はありませんが、以下の植物の花も食用に利用されます。
コロリン
「鳥の舌」とも呼ばれる深紅の花を咲かせます。
メキシコでは古い時代から食用にされました。
パンケーキに使われることが多いそうです。
バナナパッションフルーツ
果実の形がバナナに似ていることが名前の由来。
野生のものは南米のボリビアやベネズエラ、コロンビア、ペルーの高地の谷間に自生し、花びらが食用にされます。
ロロコ
エルサルバドル、グアテマラなど中央アメリカに見られるつる性の植物。
つぼみや花はププサという伝統的な料理などに利用されます。
新鮮な花を食べられるのは現地でのみ。
瓶詰めや冷凍のものはアメリカ合衆国でも購入できるそうです。
参考にさせていただいた本
この記事を作成するにあたり、以下の本を参考にさせていただきました。
写真は多くありませんが、詳しい情報やレシピも掲載されていますので、ぜひご覧ください。