世界の食用花・アジア編【エディブルフラワー】

世界の食用花・アジア編【エディブルフラワー】

日本では食用花と聞いてもピンと来ない人は多いと思います。
しかし近くの国々では花をその国特有の料理に使われることがあります。
食用花は食卓に彩りを添えるだけでなく、栄養価も高い食材。

今回はアジアの国々で食べられている花を調べてみました。

  • 原産地:中国
  • 開花期:10~12月
  • 調理法:花酒、お茶、スープ、サラダ、おひたし、酢の物、ごま和え、天ぷらなど

菊は中国料理ではスープに入れたり花びらを他の料理に散らしたりして彩りを添えます。
菊は葉も茎も根も食用にされます。
陰陽思想では「陰」の食べ物とされ、若返りと長寿の効果があると信じられてきました。

日本には8世紀に大陸から伝わりました。
菊には甘い花や苦味のある花があり、適した調理法で飲み物やサラダなどに利用されています。
最も一般的な利用法は刺身のつま。

 

桜(サトザクラ)

  • 原産地:日本、中国、朝鮮半島
  • 開花期:春
  • 調理法:梅酢漬け、塩漬け、花茶など

菊とともに日本の国花でもある桜。
古代より人々に親しまれ、歌や美術などでも美しさを表現してきました。
日本の料理には酢漬けや塩漬けにされることが多く、そのままでは塩辛いので水にさらして食べます。
また白湯やお茶に入れて桜茶として飲まれます。

 

シャクヤク(ピオニー)

  • 原産地:シベリア、中国、モンゴル
  • 開花期:5~6月
  • 調理法:花茶、サラダなど

中国では古くから親しまれている食用花。
花びらを食用に利用し、サラダに入れたり、アルコール飲料に浮かべたりして楽しみました。
中世の時代にはシャクヤク水が作られたそうです。

花色は紅色やピンク、紫紅色、白、黄色など多彩。

 

シロゴチョウ(白胡蝶)

  • 原産地:インド~東南アジア
  • 開花期:5~6月
  • 調理法:スープ、炒め物、天ぷらなど

マメ科の植物で、花も豆のさやのように見えるシロゴチョウ。
「箸の花」とも呼ばれ、野生種は標高の高い地域に群生します。
タイやベトナムでは好んで食べられる食材。
酸味のあるスープに入れたり、炒め物などにして食べます。

 

チョウマメ(バタフライピー)

  • 原産地:インド、東南アジア
  • 開花期:6~9月
  • 調理法:染料、お茶など

シンガポールやマレーシアでよく見られる花。
美しい濃い青色はマレーシアの伝統的な菓子「プルッ・タイタイ」の染料に使われます。
また創作料理に使われることも。
台湾では色鮮やかなお茶にして飲まれます。

 

デイリリー(カンゾウ)

  • 原産地:東アジア
  • 開花期:5~8月
  • 調理法:揚げ物、炒め物、スープ、

中国では古くから食用にされています。
つぼみは野菜のようなシャキシャキ感があり炒め物にされます。
花を乾燥させたものは「金針(きんしん)」と呼び、伝統料理「酢辛湯(スーラータン)」や「木須肉(ムースーロー)」、精進料理の「羅漢齋(ラカンサイ)」の食材にもなります。

ユリの仲間の大半は球根も食用にされ、日本では特にユリ根が好まれています。

 

トーチジンジャー

  • 原産地:東インド~インドネシア
  • 開花期:5~10月
  • 調理法:サラダ、麺料理など

ショウガ科で、トーチのような形の花を咲かせます。
花色は紅色のほかピンクや白もあります。
マレーシアでは「ロジャック」という伝統的なサラダに加えられます。
また、つぼみは中国料理とマレー料理が合わさったプラナカン料理の「ラクサ」という麺料理に使われます。

果実は生で食べられ、種子は香辛料として利用されます。

 

ニーム(インドセンダン)

  • 原産地:インド
  • 開花期:5~6月
  • 調理法:米料理、スパイスなど

防虫効果や薬用効果があるとされているニーム。
インドでは白い花を乾燥させてさまざまな料理や調味料に加えます。
ニームの乾燥花をヴェーパンプー(vepampoo)と呼び、タミル人の新年の料理「ヴェーパンプー・ラッサム」に使われます。
花には苦味がありますが、これをあえて加えることで「人生の苦い面も受け入れる」意味を込めています。

葉はデトックスに効果のあるお茶としても利用されます。

 

ハス

  • 原産地:エジプト、インド、中国など諸説あり
  • 開花期:7~8月
  • 調理法:天ぷら、サラダ、シロップ煮、ハーブティーなど

ヒンドゥー教や仏教では神聖な意味を持つ花。
日本ではハスといえば蓮根を主に食べますが、中国では全ての部分が食用にされます。
花の美しさは料理のつけ合せとしても映えます。

かつて西太后はハスの花びらの天ぷらを好んで食べました。
天ぷらは雄しべとがくを取り除いてから衣をつけて揚げます。

また花はハーブティーとしても飲まれます。

 

バナナ

  • 原産地:東南アジアの熱帯地域
  • 開花期:5~10月
  • 調理法:サラダ、シチュー、揚げ物、炒め物、米料理、麺料理など

インド、タイ、フィリピンなどの特に東南アジアの料理に使われるバナナの花。
露店市場で見かける機会も多く、生活や宗教行事に欠かせない食材です。

ラオスやタイ北部では人気の料理「ラープ」というサラダの一種があり、細かく刻んだバナナの花を使います。
インドではバナナの花を入れた「モチャ・チョップ」という揚げ物や「モチャ・グント」という炒め物が屋台などで売られています。
フィリピンでは「シニガン」という酸味のあるスープの材料にバナナの花が好まれています。

この他にも多くの料理にバナナの花は使われます。
機会があれば食べてみたいものですね。

 

参考にさせていただいた本

この記事を作成するにあたり、以下の本を参考にさせていただきました。
写真は多くありませんが、詳しい情報やレシピも掲載されていますので、ぜひご覧ください。