【薬用酒】眺めて楽しい飲んでおいしい花酒に向く花16選【生花利用】

【薬用酒】眺めて楽しい飲んでおいしい花酒に向く花16選【生花利用】

花は愛でるもの。
しかし花はただ咲いて散って、その姿を楽しむだけのものではありません。
昔から染料に香料に、さまざまな用途に利用されてきました。
日本ではあまり浸透していませんが、外国では昔からエディブルフラワー(食用花)も親しまれています。

この記事では花酒について紹介します。
果実酒を漬け込んで楽しむ人は多くいますが、花を漬け込む人はまだまだ少ないように思います。
薬用効果もある花酒を、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。

花酒を作る準備

必要なものは果実酒を作る時と同じです。

  • 漬け込み容器の準備:
    長期保存可能な密閉できる容器を選びます。
    ガラス製のものにし、プラスチック製は避けた方が無難。
    中ブタがあると望ましいですが、無ければラップで口をくるみます。
  • ベースのお酒の準備:
    花酒作りには基本的に35度のホワイトリカー(蒸留酒)を使います。
    お酒自体に強い香りなどがあると、素材自体の持ち味が生かせません。
    香りや色のできるだけ少ない果実酒用のお酒などを利用します。

 

花酒に向く花

花酒にできる花は数多くあります。
ここでは生花をそのまま使える花を選んでみました。

カーネーション

  • 花の時期:4~6月
  • 薬用効果:風邪予防、消毒作用

観賞用の花ではなく、食用として市販されているものを使います。
花酒にして「母の日」の贈り物に使うのも良いでしょう。

材料の配分…カーネーション20g、ホワイトリカー180ml

作り方…軽く水洗いし、水気をよく拭き取ります。
容器に入れてホワイトリカーを注ぎ、3ヶ月以上熟成させます。
花は途中で引き上げても、そのままでも大丈夫です。
炭酸水やレモン汁、ガムシロップなどを入れるとおいしくいただけます。

 

キク(黄色)

  • 花の時期:10~12月
  • 薬用効果:眼精疲労の緩和、鎮痛作用、リラックス、抗酸化・抗炎症作用

食用菊を使います。
一年じゅう手に入りますが、秋から冬にかけてのものが香り高くおすすめ。
形や色の美しいものを選びましょう。
葉がついていれば、花の一割ほどの量を一緒に漬け込みます。

材料の配分…キク300g、ホワイトリカー700ml

作り方…花や葉を水洗いして水気を拭き取ります。
そのまま容器に入れ、ホワイトリカーを注ぎます。
夏に漬け込んだものは1ヶ月、秋冬に漬け込んだものは2ヶ月熟成させると飲みごろ。
素材は3ヶ月くらいで引き上げます。

 

キンモクセイ

  • 花の時期:9~10月
  • 薬用効果:鎮痛、便秘、健胃、整腸、ノイローゼなど

ジンチョウゲやクチナシとともに三大芳香花の一つであるキンモクセイ。
公園や庭木などでもよく見かけます。
花を採取する際は、敷物を敷いて木を揺すって落とします。

材料の配分…キンモクセイ150g、ホワイトリカー850ml
※花が沢山ある場合は容器に入るだけ入れ、ホワイトリカーも入るだけ注ぎます。

作り方…たっぷりの水で花を手早く押し洗いし、水を替えてもう一度手早く洗います。
その後完全に水気を切るため花を1日陰干ししてから使います。
容器に入れ、ホワイトリカーを注ぎ、1ヶ月ほどで素材を取り出します。
その後2ヶ月経つと飲みごろになります。
白ワインで作ってもおいしくなりますが、その場合は早めに飲み切りましょう。

 

クチナシ

  • 花の時期:6~7月
  • 薬用効果:疲労回復、強壮、健胃、精神安静、安眠、美容

豊かな芳香をもつクチナシの花。
農薬を使っていないものを採取します。
花は一重と八重咲きがありますが、どちらも同様に使えます。

材料の配分…クチナシ50g、ホワイトリカー150ml

作り方…ていねいに水洗いし、水気を拭き取ります。
容器に入れてホワイトリカーを注ぎ、3ヶ月以上熟成させると琥珀色になります。
花を後から追加させる時はホワイトリカーも追加させます。

 

ゲッカビジン

  • 花の時期:7~11月
  • 薬用効果:強壮、美容

サボテンの一種で観賞用としても人気のある花。
夏の夜の数時間、良い芳香をもつ大輪の花を開花させます。

材料の配分…ゲッカビジン(採取できるだけ)、ホワイトリカー(1L容器の2/3)

作り方…開花している短時間に採取します。
ガクと雄しべを取り除き容器に入れ、ホワイトリカーを注ぎます。
同時期に後から咲く花も、追加して加えることができます。
飲む時はガムシロップを加えてもおいしくいただけます。

 

コブシ

  • 花の時期:3~5月
  • 薬用効果:頭痛、鼻炎、蓄膿症など

ヤマモクレンやシロザクラの別名をもつコブシは早春に白い花を咲かせます。
コブシの花には頭痛や鼻炎など頭部に効果のある薬効があります。

材料の配分…コブシ50g、レモン2個、蜂蜜100ml、ホワイトリカー1.2L

作り方…こぶしの花を覆っている苞(ほう)は切り落とし、花柄も短く切ります。
流水で洗い、水気を拭き取ります。
容器に、コブシの花と、わたごと皮をむいて輪切りにしたレモンを入れ、その上に蜂蜜とホワイトリカーを注ぎこみます。
1ヶ月経過したらレモンを、2ヶ月経過したらコブシの花を引き上げます。

 

サンザシ

  • 花の時期:5~6月
  • 薬用効果:なし

果実は生薬の山査子(さんざし)になりますが、花に薬効はありません。
しかし房状に咲く小花は甘酸っぱい風味。

材料の配分…サンザシ20g、氷砂糖50g、ホワイトリカー600ml、レモン半分

作り方…花房を摘み取り、たっぷりの水で押し洗いします。
花びらが落ちやすいので、静かに洗いましょう。
その後、ふきんに広げて水気を取ります。
サンザシを容器に入れ、その上にわたごと皮をむいて輪切りにしたレモンを入れます。
氷砂糖、ホワイトリカーを加えて1ヶ月後にレモンを、3ヶ月後にサンザシを引き上げます。
沈殿物はキッチンペーパーなどで漉すときれいになります。

 

ジンチョウゲ

  • 花の時期:2~4月
  • 薬用効果:歯痛、咽喉痛、乳がん初期、神経痛

沈香(じんこう)という香料に似た香りをもつジンチョウゲ。
甘酸っぱい花の香りを楽しむことができます。
使い終わった花は佃煮になります。

材料の配分…ジンチョウゲ200g、氷砂糖100g、ホワイトリカー1.2L、レモン2個

作り方…花房を摘み取り、花房から一輪ずつ外します。
たっぷりの水で数回水を替えながら押し洗いします。
ふきんに広げて少しずつ水気を拭き取り完全に乾かします。
容器にジンチョウゲ、わたごと皮をむいて輪切りにしたレモン、氷砂糖を入れてホワイトリカーを注ぎます。
1週間経過したらジンチョウゲをキッチンペーパーなどで漉して取り除き、1~2ヶ月後にはレモンを引き上げます。
レモンを取り出した頃がおいしくいただける飲みごろになります。

 

スイカズラ

  • 花の時期:4~6月
  • 薬用効果:滋養強壮、解毒、皮膚病、腰痛、美容など

ハニーサックル、金銀花とも呼ばれるスイカズラ。
花自体に甘い蜜が含まれています。
生花が手に入らない時は漢方用の乾燥品を使うこともできます。

材料の配分…スイカズラ30g、ホワイトリカー470ml

作り方…花は壊れやすいのでやさしく洗って水気を取ります。
容器に入れ、ホワイトリカーを注ぎ、2~3ヶ月で飲みごろに。
熟成を早めたい時は花の上に砂糖を少し加えると数日で飲めます。

 

スミレ

  • 花の時期:3~6月
  • 薬用効果:利尿、解熱、咳止め、不眠、鎮痛、かぶれなど

ヨーロッパ原産で、本場では食用としても使われます。
花酒には色鮮やかな傷みの無い花を使います。

材料の配分…スミレ20g、ホワイトリカー180ml

作り方…花びらが傷つかないよう優しく洗って水気を取ります。
容器に入れてホワイトリカーを注ぎます。
直後から花色がお酒に溶け出しますが、問題ありません。
3ヶ月以上熟成させると香り高い美しい花酒になります。

 

バラ

  • 花の時期:春~秋
  • 薬用効果:利尿、強壮、鎮静、便秘など

食用か無農薬で育てたバラを使います。
採取する時は茎を2~3cmつけます。

材料の配分…バラ20g、ホワイトリカー180ml

作り方…軽く洗って水気を拭き取ります。
容器に入れてホワイトリカーを注ぎ、3ヶ月以上熟成させます。
花は色が溶け出しますが、そのままでも取り出しても。

 

パンジー

  • 花の時期:11~翌6月
  • 薬用効果:解毒、血行促進、抗炎症作用、美肌

観賞用よりも小ぶりの、食用のパンジーを使います。
フローラルな香りの花酒ができます。
花は鮮度が落ちやすいので、早めに漬け込みます。

材料の配分…パンジー10g、氷砂糖20gホワイトリカー270ml

作り方…軽く洗って水気を拭き取ります。
容器に入れてホワイトリカー、氷砂糖を入れ、2週間後に素材を引き上げます。
1ヶ月後からが飲みごろになります。
沈殿物が気になる場合はキッチンペーパーなどを使って漉します。

 

フジ

  • 花の時期:4~6月
  • 薬用効果:抗酸化作用、生活習慣病予防、癌予防、美肌

観光地や公園などでも見かける藤棚。
フジの生花が手に入らない時は乾燥品を同様に利用しても花酒が作れます。

材料の配分…フジ5g、氷砂糖15g、25度の焼酎480ml

作り方…花は房から取り外します。
容器に入れ、ホワイトリカーと氷砂糖を入れます。
1週間後に沈殿物をキッチンペーパーなどを使って漉します。
甘みのある花酒になり、ウーロン茶割やアイスティー割などでおいしくいただけます。

 

ボタン

  • 花の時期:4~5月
  • 薬用効果:消炎、解熱、鎮痛、浄血

中国原産で古い時代に持ち込まれた落葉低木。
大輪の花を漬け込むと色が溶け出し美しい酒に。

材料の配分…ボタン200g、氷砂糖70g、ホワイトリカー700ml

作り方…花びらを摘み取り、水洗いして水気を完全に切ります。
容器にボタンと氷砂糖を入れ、ホワイトリカーを注ぎます。
3ヶ月経過したら素材を取り出し、飲みごろになります。

 

ミソハギ

  • 花の時期:6~9月
  • 薬用効果:腸炎、下痢

旧盆の頃に咲くピンク色の花は地方では盆花として用いられてきました。
全草に薬効があり、地上部を乾燥させて煎じて服用することも。

材料の配分…ミソハギ(花と枝)60g、氷砂糖100g、ホワイトリカー1.2L

作り方…採取したミソハギは花が落ちやすいので、たっぷりの水で数回水を交換しながら静かに押し洗いします。
水気をきってふきんに敷き、風通しの良い場所に置いて乾かします。
容器にミソハギと氷砂糖を入れ、ホワイトリカーを注ぎます。
半年経過したら素材を取り出し、飲みごろになります。

 

ヤエザクラ

  • 花の時期:4~5月
  • 薬用効果:精神安静、安眠、咽頭痛、美容

桜の花を花酒にする場合、ソメイヨシノやヤマザクラは香りが薄く向きません。
花の開ききっていないものを使うと香り高い花酒になります。

材料の配分…ヤエザクラ150g、氷砂糖150g、ホワイトリカー1.2L

作り方…花の花柄は切り落とし、たっぷりの水で押し洗いします。
完全に水気を切り、容器にヤエザクラと氷砂糖、ホワイトリカーを入れます。
2ヶ月経過したらヤエザクラを取り出し、沈殿物をキッチンペーパーなどで漉します。
この頃が飲みごろになります。
※ヤエザクラが一度に沢山手に入らない場合は後から追加して漬けられます。

 

参考にさせていただいた本

記事の作成のあたって、以下の本を参考にさせていただきました。
果実酒や薬用酒なども沢山紹介されています。