行者が山での荒行に耐える強壮剤として食べたというギョウジャニンニク。
今は一般的にもよく知られていますが、野生のものはなかなか採取できません。
そんなギョウジャニンニクの、調べたことをまとめました。
ギョウジャニンニクの基本情報
- ギョウジャニンニク(行者大蒜):ユリ科ネギ属 多年草
- 別名:アイヌネギ、ウシビル、ヤマビル、キトビル、エゾネギ、ヤマニンニクなど
- 自生地:北海道、本州近畿以北
- 開花時期:6~7月
- 栄養成分:ニンニクに含まれるアリシンなど
- 薬用効果:滋養強壮
ギョウジャニンニクの特徴
野生のものは深山の林の中などに育ちます。
草丈は30~50cmほど。
早春に褐色の葉鞘から長楕円形の葉を2枚出します。
初夏には葉の中央から花茎を伸ばし、先端にネギに似た球形の緑白色の花を咲かせます。
地下に埋まる鱗茎はラッキョウのような形をし、外側は繊維に覆われ、4~6cmほどの大きさ。
全草に強いニンニクの臭いがあります。
ギョウジャニンニクの食べられる部位と採取時期
3~6月に新芽を採取します。
地方別の採取目安としては、関東・関西地方は4月、中部地方は4~5月、北海道・東北では5月ごろ。
葉が開く前のものを根元から切り取ります。
花も、初夏のつぼみのころに利用できます。
鱗茎は一年中採取できます。
ギョウジャニンニクの採取場所と注意
北海道では平地でも見られますが、本州では標高1000m以上の高山に生育します。
群生しますが、ギョウジャニンニクは繁殖力が弱い植物。
鱗茎は最小限の採取にとどめ、地上部のみを利用するようにしましょう。
若芽は毒草のコバイケイソウやスズラン、イヌサフランに似ています。
ギョウジャニンニクは全体にニンニク臭があり、葉の基部は赤茶色の繊維で包まれてているので確認します。
ギョウジャニンニクの調理方法
- 若葉、つぼみ:和え物、おひたし、煮びたし、汁の実、天ぷら、炒め物、生食など
- 鱗茎:炒め物、漬け物、和え物、天ぷらなど
普通のニンニクよりも匂いが強いので、食べると体臭がきつくなります。
生食もできますが、食べ過ぎると胸やけを起こすので注意。
ここでは、ギョウジャニンニクのシンプルなおすすめ調理法を紹介します。
したごしらえ
軽く茹でて水にさらします。
生食では辛味はありますが、熱を加えるとなくなります。
塩漬けや乾燥させると長期保存できます。
①おひたし
山野草の中でも、ギョウジャニンニクの若葉は特に味が良いです。
素材の味をおいしくいただける方法です。
②生食
生で食べる時は、味噌をつけて。
おいしくても食べ過ぎないよう注意しましょう。
また若葉を生のまま刻んで薬味にもなります。
③餃子の具
ニンニクと同様に餃子の具に使うと一層おいしく食べられます。
④乾燥させ保存食として
花の咲くころの大きくなったものを根元から採取し、白い茎の部分と葉を切って分けます。
白い茎部分の方が乾燥に時間がかかりますが、葉よりも甘みがあります。
使用する時は煮物や汁の実に入れます。
ギョウジャニンニクを気軽に食べる方法
「ギョウジャニンニクを食べてみたいけど、山に採りに行けない」
「時期が過ぎてしまった」
という方は、通販で手に入れることもできます。
こちらは醤油漬けにしてあり、調理しなくてもそのまま食べることができます。
また、味噌漬けもあります。
ご飯のお供にピッタリですね。
ギョウジャニンニクの薬効
薬効については、あくまで参考程度に記載しています。
北海道のアイヌの人々は、風邪や肺炎の時にギョウジャニンニクを煮てその湯気にあたり治していたそうです。
また煎じて飲むことで風邪に効果があると信じられています。
参考になる本の紹介
この記事を書くにあたって、以下の本などを参考にさせていただきました。
より詳しい情報やレシピ、写真が掲載されていますので、ぜひご覧ください。