野生で見つけたい 薬用植物クコ【食べられる山野草】

野生で見つけたい 薬用植物クコ【食べられる山野草】

クコは健康食品として有名で、スーパーの食品売り場でも見られます。
日本には奈良時代に中国からもたらされました。
クコの実は買わないと手に入らないと思っていましたが、野生でも見つかるようです。
ここでは野生のクコについて調べたことをまとめました。

クコの基本情報

 

  • クコ(枸杞):ナス科クコ属 落葉低木
  • 別名:スミスグリ、カラスナンバン、キホオズキ、イヌクゴ、オニクゴなど
  • 自生地:日本各地
  • 開花時期:8~10月
  • 栄養成分:ベタイン、ルチン、ビタミンA、B1、B2、C、カルシウム、リン、鉄など
  • 薬用効果:滋養強壮、低血圧、不眠、糖尿病、動脈硬化など

 

クコの特徴


クコは中国のほか韓国や台湾にも自生し、昔から漢方として利用されてきました。
近年、健康食品が流行り、盛んに栽培されるようになりましたが、畑から逃げ出したものが野生化しています。

樹高は1.5~2mほどの低木で、柳のように細くしなやかな茎が垂れ下がります。
枝にはとげがあり、葉は長楕円形で互生します。
秋に近付くと、葉腋からナスの花に似た1cmほどの淡紫色の花を咲かせます。
晩秋、楕円形の赤い果実が熟します。

 

クコに似た毒草ヒヨドリジョウゴ

 

林縁などに見られるクコと同じナス科のヒヨドリジョウゴ。
果実は赤くおいしそうですが、ジャガイモと同じ毒成分のソラニンやアトロピンを含みます。
誤食すると嘔吐、下痢、腹痛、発熱、頭痛、呼吸困難などを引き起こし、最悪の場合死に至ります。
ヒヨドリジョウゴの花は白く、葉は細長いハート形で果実はクコと異なり丸いのでよく姿形を確認しましょう。

 

クコの食べられる部位と採取時期

 

新芽や葉は一年中採取できますが、3~6月が適期。
柔らかい新芽の先端部10cmくらいを摘み取ります。
初夏の新芽は虫がつきやすいので気をつけます。
採取後、後から再び新芽が出ます。

果実は10~12月に収穫できます。
赤く熟したものを採取します。

茎にトゲがあるので触れないよう注意しましょう。

 

クコの採取場所と注意

 

※場所により、いまだに放射線量の高い地域もあります。
自治体の情報をご確認の上、安全を判断してください。

栽培種が逃げ出し、全国各地の山地や林の湿地、川辺、野山に自生します。
土手や堤防、海岸など、生育環境は、湿り気のある場所を好みます。

神社や寺の藪などで野生化したものもあります。

 

クコの調理方法

  • 新芽、葉:おひたし、和え物、佃煮、天ぷら、炒め物、菜飯、餃子の具、お茶など
  • 果実:薬酒、デザート、スープ、煮物、炒め物など

果実ばかりが有名なクコですが、葉の利用法もバリエーションが豊富。
ここでは、クコのシンプルなおすすめ調理法を紹介します。

したごしらえ 
新芽や葉は塩ひとつまみを入れた熱湯で10分茹で、冷水に15分ほどさらします。
塩漬けにして保存することができます。
果実はよく洗います。

①天ぷら 
新芽や葉を生のまま衣をつけて揚げます。
クセがなく、カラッと揚げて食感を楽しみます。

②菜飯 
塩漬けにした新芽や葉を使います。
余分な塩を洗い流し、細かく刻み、炊きあがったご飯に混ぜます。

③クコ茶 
葉を天日乾燥させ、クコ茶として飲みます。
カフェインレスで高血圧予防や利尿に効果があるとされます。
日常的に取り入れたいお茶。

④クコの実茶 
乾燥した果実小さじ一杯と適量の蜂蜜をカップに入れ、熱湯を注ぎます。
果実がふやけてきたら飲みごろです。

⑤果実酒 
生のものでも乾燥したものでも果実酒に利用できます。
果実と同量の砂糖を加え、果実の2~3倍の焼酎に漬けて冷暗所に保存します。
1~2ヶ月経ったら果実を取り除き、更に3ヶ月以上熟成させます。

 

クコの薬効

薬効に関しては、あくまで参考程度に記載しています。
クコの果実を乾燥させたものを生薬では「枸杞子(くこし)」、葉を天日乾燥させたものを「枸杞葉(くこよう)」、根皮を乾燥させたものを「地骨皮(じこっぴ)」と呼びます。

果実酒や煎液を服用すると、解熱、滋養強壮、リウマチ、糖尿病、血圧異常、動脈硬化、肝臓病、不眠症などに効果があると言われています。また目の充血には果実や葉の煎液で洗うと良いとされています。

ジャスミンの樹皮を地骨皮として売られるケースもあり、注意が必要です。

クコは薬用効果を実感するまでに長い時間がかかります。
数年から数十年と長期的に摂ることで薬効を得られます。
日常生活に取り入れるようにしましょう。

 

参考になる本の紹介

この記事を書くにあたって、以下の本などを参考にさせていただきました。
より詳しい情報やレシピ、写真が掲載されていますので、ぜひご覧ください。