かつては養蚕業で使われていたクワ。
果実は昔から食べられていましたが、近年は葉のお茶も有名になりました。
そんなクワの採取や食用としての楽しみ方をまとめてみました。
クワの基本情報
- クワ(桑):クワ科クワ属 落葉高木
- 別名:ササグワ、イヌグワ、シマグワ、ヤマグワ、カイコノキ、ノグワなど
- 自生地:全国各地
- 開花時期:4~5月
- 栄養成分:鉄分、カルシウム、β-カロテン、ビタミンB1、B2、Cなど
- 薬用効果:気管支喘息、消炎、高血圧、糖尿病、不眠症など
クワの特徴
落葉高木で、樹高は15mに達することも。
幹は灰褐色で、縦に不規則な筋があります。
葉は縁に鋸歯があり先端の尖った卵形で、切れ込みがあるものや無いものがあります。
春になると葉のわきに淡黄色の目立たない小花をつけます。
初夏に長楕円形の集合果を結び、オレンジ色から赤色、黒色へと熟します。
クワは養蚕業と深く繋がりがあります。
葉は蚕のえさとして利用されましたが、今ではまゆ玉農家が減少し、放置されているものも少なくありません。
クワの食べられる部位と採取時期
5~8月頃、初夏の訪れとともに熟す果実が食用になります。
果実は潰さないようにそっと摘みます。
果汁が付着すると落ちないので、収穫はゴム手袋などをつけ、白い服は避けましょう。
葉は一年中採取できますが、おすすめは若葉で適期は4~5月ごろ。
弱い光沢のある若芽や若葉を採取します。
クワの採取場所と注意
※場所により、いまだに放射線量の高い地域もあります。
自治体の情報をご確認の上、安全を判断してください。
養蚕業で栽培されていたものが放置され、野生化したものが野山などで見られます。
道路わき、空き地、公園、川沿い、畑のわきなど。
山地から人里付近まで、場所を選ばず広がっています。
果実は蛾の幼虫が好み、体毛がついていることがあります。
摘んだものはそのまま食べずに必ず洗うようにします。
クワの調理方法
クワの果実を大量に食べるとお腹が緩くなることがあります。
また、緑色の未熟果は幻覚作用があり、吐き気や痙攣を起こします。
- 果実:生食、ジャム、ジュース、果実酒、菓子など
- 若葉:お茶、おひたし、和え物、天ぷら、炒め物、ふりかけなど
果実は甘さを生かし、若葉はお茶以外でも食用に利用できます。
ここでは、クワのシンプルなおすすめ調理法を紹介します。
したごしらえ
果実はよく水洗いします。
若葉は塩ひとつまみを入れた熱湯で10分ほど茹で、冷水に30分さらします。
①クワの実のジャム
ジャムには、濃い赤色~黒色になった柔らかい果実を使います。
果実と同量の砂糖を加えて煮詰めます。
果実についている短い柄は、煮てから目の粗い網を通すと除けます。
②クワの実の果実酒
果実をよく洗い、水気を完全に拭き取ったら瓶に入れます。
ホワイトリカーとグラニュー糖を入れて冷暗所に置き、3ヶ月で飲めます。
滋養強壮や疲労回復に効果があるといわれています。
③クワの葉茶
葉は水洗いして汚れを落とし、風通しの良い場所に陰干しします。
干し上がったら密閉容器に入れ常温で保存します。
ほのかに甘みのある飲みやすいお茶で、高血圧予防に良いといわれます。
④天ぷら
クワの若葉は生のまま天ぷらで食べることもできます。
お茶以外でもさまざまなバリエーションで楽しめ、薬効も得られます。
クワの薬効
薬効については、あくまで参考程度に記載しています。
クワは樹木全体に薬効があるとされ、生薬では葉を「桑葉(そうよう)」、果実は「桑椹(そうじん)」、根皮を「桑白皮(そうはくひ)」と呼びます。
一般的にはクワの葉茶に薬効を期待することが多く、高血圧予防や動脈硬化予防、利尿作用、滋養強壮があるとされています。
根皮は気管支喘息や利尿、消炎に効果があるとされ、果実はビタミン類を豊富に含むほか、抗酸化作用をもつポリフェノールも含まれ美容に良いといわれています。
クワは薬性が穏やかで少量では薬用効果が少なく、大量を日々継続して服用する必要があるそうです。
参考になる本の紹介
この記事を書くにあたって、以下の本などを参考にさせていただきました。
より詳しい情報やレシピ、写真が掲載されていますので、ぜひご覧ください。