見た目が普通の葉っぱなので、採取には判別に迷ってしまうミヤマイラクサ。
おいしく食べられ、東北では人気の山菜でもあります。
そんなミヤマイラクサの、調べたことをまとめました。
ミヤマイラクサの基本情報
- ミヤマイラクサ(深山刺草):イラクサ科ムカゴイラクサ属 多年草
- 別名:アイコ、アエコ、エコギ、エラ、イラグサ、エアッコ、モウセン、ツギリグサなど多数
- 自生地:北海道南部~九州北部(四国を除く)
- 開花時期:7~9月
- 栄養成分:タンパク質、ビタミンB2、C、鉄、カルシウムなど
- 薬用効果:利尿、血圧降下、リウマチ、神経痛、腰痛など
ミヤマイラクサの特徴
山地に生える多年草。
イラクサ(刺草)と呼ばれる所以であるように全体が毛のようなトゲが生えています。
このトゲに触れると腫れあがり、痛痒さにしばらく悩まされます。
これは蟻や蜂などの毒である蟻酸を含むためで、時間がたてば治まります。
葉は丸みのある卵形で縁にギザギザがあり、先端は尖ります。
大きさは10~20cmほどの大きさ。
草丈は大きくなると1mくらいまでになります。
同じ仲間に、関東以西から四国、九州に自生するイラクサがあります。
ミヤマイラクサに比べて小柄で、こちらもトゲが生えていますが、同様に食用になります。
また、ホソバイラクサはドイツでは戦争中に食用としたそうです。
ミヤマイラクサの食べられる部位と採取時期
4~6月の若芽、若茎が食用になります。
地域別の目安は、九州地方は4月ごろ、関東・関西・中国地方では4~5月、東北・中部地方では5月ごろ、北海道は5~6月になります。雪の多い地域では、7月ごろの融雪直後まで採取できるところもあります。
太く柔らかな茎のものを選び、20~30cmくらいに伸びた若芽をむしり取るか、刃物で切り取ります。
付け根をつけたまま採取すると少し保存期間が長くなります。
素手では触れずに、必ず軍手やゴム手袋をはめて採取します。
採取したものは他の草と混ぜないようビニール袋などに入れます。
薬用として採取する場合、夏から秋にかけて全草を採取します。
ミヤマイラクサの採取場所と注意
※場所により、いまだに放射線量の高い地域もあります。
自治体の情報をご確認の上、安全を判断してください。
標高800mくらいの山地に自生します。
木陰や急斜面、山道のわき、沢沿いの暗い湿り気のある場所に群生します。
ミヤマイラクサにはアオムシやアブラムシ、ナメクジなど様々な害虫がつくので注意します。
ミヤマイラクサの調理方法
ミヤマイラクサは毒液の中にヒスタミンを含んでいるため、多食すると蕁麻疹、嘔吐、下痢を伴います。
したごしらえをすることで、かなり緩和されます。
生のままの保存性は高くありません。
付け根をつけたまま新聞紙等で包んで冷蔵することで10日ほどもちます。
- 若芽、若茎:おひたし、和え物、汁の実、煮物、鍋物など
ミヤマイラクサは、ほとんどクセがなく淡泊な味。
調理の際も、したごしらえをするまでは素手では触らずゴム手袋をしましょう。
気になるトゲは、したごしらえをすることで消えます。
したごしらえ
葉を取り除き、塩ひとつまみを入れた熱湯で7~8分茹で、冷水に7~8分さらします。
熱でトゲは取れ、水にさらすことで痒みの素となる成分ヒスタミンも溶け出します。
また茎は皮をむくと歯触りが良くなります。
したごしらえしたものは、塩蔵や乾燥で保存することもできます。
①おひたし
したごしらえをした後、食べやすい大きさに切って盛りつけます。
ほろ苦くシャキシャキした歯ごたえを楽しむことができます。
②和え物
ごま和え、酢味噌和え、からし和え、白和え、くるみ和えなど楽しみ方が豊富です。
③汁の実
したごしらえをしたものを味噌汁に入れて味わいます。
わずかに山菜の風味を感じられます。
ミヤマイラクサの薬効
薬効に関しては、あくまで参考程度に記載しています。
リウマチや小児のひきつけなどに、晩夏から秋にかけて採取した全草を乾燥させたものを煎じて服用すると効果があるそうです。
参考になる本の紹介
この記事を書くにあたって、以下の本などを参考にさせていただきました。
より詳しい情報やレシピ、写真が掲載されていますので、ぜひご覧ください。