生薬やくず粉で知られるクズは秋の七草のひとつでもあります。
有名なだけあって、あまり自分で採取しようと思う人は少ないかもしれません。
野生のクズはいつ、どこで採取できるのでしょうか。
薬だけでない有用植物、クズの調べたことをまとめました。
クズの基本情報
- クズ:マメ科クズ属 多年草
- 別名:ウマフジ、ウマノボタモチ、クツバカズラ、カンネカズラ、カンネ、ウラミグサなど
- 自生地:日本全土
- 開花時期:7~9月
- 栄養成分:澱粉、イソフラボノイド配糖体、イソフラボノイド、トリテルペノイドサポニンなど
- 薬用効果:発汗、解熱、アルコール中毒、血止めなど
クズの特徴
土手や道端などでも生えている、身近な多年草。
いたるところに繁殖し、旺盛に蔓を伸ばし他の樹木などに絡み、10m以上になることも。
絡みついた木を枯死させるので植林地では厄介者扱いですが、丈夫な繊維なため、かつてはその蔓で葛布を作り着物にしたりカゴを編むのに利用されました。
葉は3枚の小葉からなり、20~40cmの大きさで先の尖った幅広の卵形。
葉裏には白っぽい細毛が密生しています。
夏には葉のわきから花軸を伸ばして花穂を上向きに、紫色の花をつけます。
花には濃厚な甘い芳香があります。
土中の巨大な根からは上質な澱粉が含まれ、抽出精製して葛粉が作られます。
しかし量産が難しく、収量は原料のグズ根の3~4%程度とのこと。
現在市販されているくず餅の殆んどはジャガイモから採る澱粉が原料です。
クズの食べられる部位と採取時期
3~6月の新芽や茎葉、つる先が食用になります。
地域別では、関西地方以西は3~4月、関東・中部・東北地方は4~5月、北海道は5~6月が採取の適期。
葉は小さめの柔らかいものを摘み取ります。
つる先は太めのものを爪先で摘みます。
切り口から液が分泌しますが、これが多いものが良いとされます。
花も食用になり、7~9月の開花期が適期です。
花は八分咲きのものを花穂ごと採取し、潰れないように容器に入れて持ち帰ります。
根を薬用として使う場合は冬に掘り出します。
クズの採取場所と注意
※場所により、いまだに放射線量の高い地域もあります。
自治体の情報をご確認の上、安全を判断してください。
日当たりのよい林の縁や荒地、土手、道路わきの藪、空き地など、さまざまな場所に自生します。
あたり一面を覆っていることもあるので、見つけやすいです。
カメムシがついていることがあるので、注意します。
クズの調理方法
- 新芽、若葉:天ぷら、和え物、炒め物、煮つけ、サラダなど
- つる先:おひたし、汁の実、きんぴらなど
- 花:酢の物、天ぷら、花茶、ジャムなど
クズは根以外の部分もさまざまな調理法で楽しむことができます。
ここではクズのシンプルな調理法を紹介します。
したごしらえ
新芽は毛を取ります。
塩か重曹をひとつまみ入れた熱湯で軽く茹で、水に7~8分さらします。
花は熱湯に軽くくぐらせるだけにします。
①天ぷら
葉も花も生のまま天ぷらにできます。
葉に薄く衣をつけて低温で揚げ、塩で食べるとお菓子のようです。
花は花穂からしごて外し、きれいなものを選び水洗いしてからかき揚げ風にします。
また花穂ごと天ぷらにしても良いです。
②花の酢の物
花は酢につけると鮮やかな色に発色します。
したごしらえの後、三杯酢や梅酢などでいただきます。
③炒め物
油炒めにする時は生のままでもできます。
クズの薬効
薬効に関しては、あくまで参考程度に記載しています。
秋から冬に掘りだした根を天日干しにしたものが生薬の「葛根(かっこん)」で、主に風邪薬として利用されます。
またクズの花は「葛花(かっか)」と呼ばれ、二日酔いや酒毒に効果があると言われています。
花は枯れたものでは効果が無く、また中国産のものも効果が無いと言われています。
参考になる本の紹介
この記事を作成するにあたって、以下の本などを参考にさせていただきました。
より詳しい情報やレシピ、写真が掲載されていますので、ぜひご覧ください。