ハチクと聞くと、「破竹の勢い」という言葉が思い浮かびます。
漢字が異なりますが、竹の生長は目を見張るほど早いものです。
そんなハチクの採取や楽しみ方をまとめてみました。
ハチクの基本情報
- ハチク(淡竹):イネ科マダケ属 常緑多年生禾本
- 別名:アワタケ、クレタケ、カラタケ、カラダケなど
- 自生地:全国各地
- 栄養成分:アルンドイン、シリンドリンなど
- 薬用効果:咽頭痛、喘息、咳、不眠、胃熱嘔吐、胎動不安、出血など
ハチクの特徴
山野に自生する竹の仲間で、古来より工芸品などに利用されてきました。
市場によく出回るタケノコの多くはモウソウチクで、ハチクはあまり見られません。
モウソウチクの時期が終わる5~6月に、ハチクは赤茶色の鞘に包まれた細長いタケノコを出します。
生長すると高いもので20mにも伸び、直径は3~10cmになります。
花の開花は120年に一度といわれており、開花すると藪全体が枯れてしまいます。
ハチクとモウソウチクの違いは節の形。
ハチクは2本の筋が入りますが、モウソウチクは1本。
ハチクに似た仲間マダケ
ハチク同様中国からの帰化植物と言われ、竹細工などに利用されます。
ハチクやモウソウチクよりもずっと細く、6~7月ごろが採取の時期。
30~100cmほどまでに伸びたものも食用になります。
採りたては生で食べられますが、別名ニガタケ(苦竹)ともいわれ、時間が経つと苦味が出ます。
生食で少し試食して、苦いようならよく茹でて水にさらしましょう。
煮物や漬け物などに利用できます。
ハチクの食べられる部位と採取時期
5~6月ごろのタケノコが食用になります。
モウソウチクとは異なり、地中から掘り出す手間はありません。
柔らかい地上部分を採取します。
30~50cmほどに伸びたものを鎌などで刈り取ります。
ハチクの採取場所と注意
※場所により、いまだに放射線量の高い地域もあります。
自治体の情報をご確認の上、安全を判断してください。
耐寒性があり、特に日本海側に多く自生します。
山地から平野の河川の堤防などに見られます。
砂防のために植えられているものもあり、それを崩すような採取は止めましょう。
また土地の所有者がいる場合は許可をとって採取します。
ハチクは植物の生態系に影響を与えるほどの繁殖力があります。
ほったらかしの状態になっている藪は早急の対応が必要です。
ハチクの調理方法
ハチクは採取して時間が経過すると味が落ちます。
できるだけ早めに調理しましょう。
- タケノコ:生食、焼き物、煮物、スープなど
モウソウチクとは異なる味をもつハチク。
ここでは、ハチクのシンプルなおすすめ調理法を紹介します。
したごしらえ
採りたては苦味やえぐみは無く、そのまま食べられます。
時間が経ったものは皮のまま米のとぎ汁入れた熱湯で茹でます。
①焼き物
皮をつけたまま網で、外側が真っ黒になるまで焼きます。
パリパリした食感を楽しめます。
古いものは焼き方が足りないと苦味が残ります。
②煮物
皮をむいてから竹串が通るまで煮ます。
爽やかな味わい。
ハチクの薬効
薬効に関しては、あくまで参考程度に記載しています。
ハチクには薬効があり、その部位によって生薬名をもち、さまざまな効果があります。
竹筎(ちくじょ)は幹の青い表皮をはぎ、白色部を薄く削り乾燥したもの。
頭痛、二日酔い、喘息、咽頭痛、肩こり、赤痢、月経閉止、夜尿症などに。
竹葉(ちくよう)は竹の葉のこと。
咳、声がれ、風邪、去痰、喘息、咽頭痛などに。
竹瀝(ちくれき)は青い幹を火であぶると出てくる汁を集め、漉したもの。
強壮、鎮静、鎮咳、去痰、止血などに効果があると言われています。
また、竹の花を煎じて服用すると頭痛に効くとされています。
参考になる本の紹介
この記事を書くにあたって、以下の本などを参考にさせていただきました。
より詳しい情報やレシピ、写真が掲載されていますので、ぜひご覧ください。