夏に湖などで見られる、ヒシと呼ばれる菱形の葉をもつ植物。
俳諧では水栗と呼ばれるヒシの実はその名の通り栗の味。
そんなヒシの採取や食用としての楽しみ方をまとめてみました。
ヒシの基本情報
- ヒシ(菱):ミソハギ科(ヒシ科)ヒシ属 一年草
- 別名:ミズグリ、オニカワラ、ツノジ、オニコ、ヘシ、フシ、シシなど
- 自生地:北海道~九州
- 開花時期:7~10月
- 栄養成分:澱粉、たんぱく質、ビタミン、ミネラルなど
- 薬用効果:汗、身熱、息切れ、口渇、疲労、食欲減退など
ヒシの特徴
水生の一年草で、ユーラシア大陸やアフリカにも分布しています。
繁殖力が強く、池や沼などの水面を覆いつくすほど。
水底の泥の中から茎を伸ばし、1~2mほどになります。
葉は縁に粗い鋸歯があり菱形。菱形という言葉はこのヒシの葉の形に由来します。
葉柄は中ほどで浮袋のように膨らみがあります。
夏から秋にかけて花茎を伸ばし、小さな白色または淡紅色の4弁花を咲かせます。
実は葉の裏、水の中で育ち、鋭いとげを持ちます。
秋に黒熟し、水に沈みます。
ヒシの実は昔から食用として利用され、縄文人の食糧だったと言われています。
現代でもヨーロッパでは食材として、中国では漢方薬としても利用されます。
日本国内には小型のヒメビシやトゲが4つあるオニビシもあり、同様に食用になります。
これらは忍者の撒きビシにも使われたそうです。
ヒシの食べられる部位と採取時期
7~10月にできる実が食用になります。
水に沈む前の若い果実を採取します。
水中にあるので、岸辺から棒などを使って手繰り寄せます。
葉の裏側にできる実を採ります。
ヒシの採取場所と注意
※場所により、いまだに放射線量の高い地域もあります。
自治体の情報をご確認の上、安全を判断してください。
ため池や湖沼などに見られます。
水質汚染に強く、汚れた水でも育ちます。
ヒシは九州地方では栽培されている場所もありますが、基本的に栽培されることは少ないです。
念のため所有者の確認をしておくと安心です。
ヒシの調理方法
- 実:生食、茹でる、煮物、炒め物、茶碗蒸し、汁の実、きんとんなど
ヒシの実は控え目な甘みを持っています。
ここでは、ヒシのシンプルなおすすめ調理法を紹介します。
したごしらえ
堅い殻をむきます。
①生食
若い実は生のままでも食べられます。
殻をむいた実は、リンゴのような歯触りを楽しめます。
②茹でる
茹でる、または蒸すと栗のような味になり、生より甘みが増します。
③煮物
砂糖煮にすると長期保存することができます。
参考になる本の紹介
この記事を書くにあたって、以下の本などを参考にさせていただきました。
より詳しい情報やレシピ、写真が掲載されていますので、ぜひご覧ください。