春の山菜として有名なウド。
「ウドの大木」の言葉のとおり、生長しきってしまうと役に立たないなどと思われがちですが、夏に咲く花も食用になるのです。
そんなウドの、調べたことをまとめました。
ウドの基本情報
- ウド(独活):ウコギ科タラノキ属 多年草
- 別名:ヤマウド、ウドン、キドウド、クサダラ、クロクキ、ケウド、ホンウド、ツチタラなど
- 自生地:北海道~九州
- 開花期:8~9月ごろ
- 成分:精油成分にリモネン、サビネン、ジテルペン類など
ウドの特徴
全国に広く分布しています。
春に新芽を出し、生長すると高いもので3mを超えることも。
茎は太く、中空で分枝し、節ごとに葉を互生します。
夏には茎の先に白い小花を球状に集めて咲き、まるで線香花火のような形。
秋には黒い実が熟し、冬には枯れ、その大きな姿を消します。
栽培されたものに対して野生のものをヤマウドと呼ぶこともありますが、同じウドです。
しかし天然の環境で育った野生のウドは、やはり味も香りも別格です。
ウドという名前は、春先のうずくまった若い芽を採取することから「埋(うぞ)」と呼ばれ転じた説、生長すると茎が中空になることから宇登呂(うどろ)と呼ばれ、それが短くなった説などがあります。
ウドの食べられる部位と採取時期
ウドは若芽のほか、若葉、つぼみ、花、実、根が食用になります。
若芽は地方により早ければ3月から、普通は4~5月が適期です。
地方別では、関東・関西・中国・四国・九州地方では4月ごろ、中部地方では4~5月、東北では5月、雪の多い北海道は5~6月が目安。
ずんぐりとして赤みのある、葉が開き始めのものを根元からナイフで切り取ります。
生長して粗大化したウドも、開ききらない芽先の若葉は食べられます。
つぼみや花は8~9月の開花期に。
実は9~11月に。若い実も黒く熟した実も食用になります。
根は薬用として使用でき、秋に掘り取ります。
ウドの採取場所と注意
丘陵や浅い雑木林などの日当たりの良い急斜面などに多く自生します。
若芽の採取は、前年に枯れた茎の近くに、全体が毛に覆われた若芽が見つかります。
丈が10~30cmのものを探し、根元を掘ります。
できるだけ白い部分が多くなるように切り取ります。
つぼみや花、実は、採る人がほとんどおらず採取するのは容易です。
穂のまま、指で切れる部分を摘み取ります。
※場所により、いまだに放射線量の高い地域もあります。
自治体の情報をご確認の上、安全を判断してください。
ウドの調理方法
- 若芽、茎:生食、サラダ、和え物、天ぷら、きんぴら、煮物、漬け物など
- 生長したウドの若葉:天ぷら、揚げ物、炒め物など
- つぼみ、花:天ぷら、炒め物、和え物、煮物、炒め物、佃煮、塩漬けなど
- 実:天ぷら、果実酒など
- 根:薬
採りたては生食できます。
ウドは時間がたつとアクや苦味が強くなり、かたくなっていきます。
採取したら、したごしらえはできるだけ早く行います。
ここではウドのシンプルなおすすめ調理法を紹介します。
したごしらえ
生で食べる場合は、若芽はよく洗って皮をむき、薄切りにし、酢を落とした冷水に10分程度さらします。
色の変色を抑えることができます。
また、和え物や炒め物、煮物などには手早く塩茹でし、冷水にさらします。
花や実の穂は切り口が黒ずんでくるので、調理前に切りなおします。
重曹を入れた熱湯で、花が傷まない程度に茎が柔らかくなるまで茹でます。
その後水にさらし、何度か交換します。
①生食
若芽のほろ苦い味と香りを楽しむなら生で食べるのがいちばん。
酢水にさらしてから、サラダ、和え物などに。
採りたてなら洗って味噌をつけていただきます。
②天ぷら
若芽や若葉はきれいに洗って天ぷらにできます。
茎も短冊状に切って水にさらしてから衣をつけて揚げます。
つぼみや花、若い実の穂も、薄く衣をつけて姿揚げに。
③油炒め
30~40cmに育った緑の茎も油で炒めると美味。
食べやすい大きさに切って。
④果実酒
黒く熟した実は焼酎に漬けて果実酒になります。
実は一ヶ月ほどで引き上げ、3~5ヶ月で出来上がります。
ウドの薬効
薬効に関しては、あくまで参考程度に記載しています。
秋に野生のウドの根茎を掘り出し乾燥させたものを、生薬では和独活(わどっかつ)、九眼独活(きゅうがんどっかつ)、和羌活(わきょうかつ)と呼ばれています。
以下のような薬効があるといわれています。
- 風邪の初期に:和独活を細かく刻んで煎じて飲むと、リンパ液の流れをよくし、発汗、解熱に効果があると言われています。
- 肩こりの緩和:茎葉を浴湯料にします。痔にも効果があるそうです。
- 強壮剤として:茎や根の絞り汁を服用する。
参考になる本の紹介
この記事を作成するにあたり、以下の本などを参考にさせていただきました。
より詳しい情報やレシピ、写真が掲載されていますので、ぜひご覧ください。