野草摘みや山菜採りで気を付けなければならないのが、似ている毒草。
採取して誤食してしまうと死に至るケースも少なくありません。
この記事では食べられる野草や山菜に似ている毒草を15種取り上げました。
イヌサフラン
誤食による事故では、毒草で有名なトリカブトよりも多く死者を出しているイヌサフラン。
サフランと名がつくからと花柱をスパイスに利用しての中毒例もあります。
園芸用に改良されたコルチカムという品種でもペットの誤食が報告されています。
ウマノアシガタ(キンポウゲ)
- 分布:北海道南部~九州
- 花期:4~6月
- 似ている山野草:ゲンノショウコ、ニリンソウ
- 誤食時の症状:胃腸粘膜のただれ、血便
キンポウゲ科で、花は光沢のある黄金色の五弁花。
放牧地などに群生し、家畜の誤食事故が多い毒草。
汁液が皮膚につくと赤くかぶれます。
キツネノカミソリ
原野や広葉樹林内などに自生するヒガンバナの仲間。
全草有毒で、とくに鱗茎に強い毒を持っています。
アサツキやノビルと間違われやすいですが、匂いで判断できます。
またキツネノカミソリは開花時に葉は枯死するので、ノカンゾウとの違いは葉の有無で確認することができます。
キツネノボタン
田んぼの畦や小川など湿り気の多い場所に自生します。
よくセリと一緒に生えていることがありますが、キツネノボタンには香りがありません。
毒は揮発性のプロトアネモニンで加熱や乾燥で無毒になるので、干し草にして家畜が食べても影響はありません。
キオン
- 分布:全国各地
- 花期:6~7月
- 似ている山野草:ゴマナ、ハンゴンソウ
- 誤食時の症状:下痢
梅雨時に美しい黄色の花を咲かせるキオン。
ハンゴンソウに似ており、また若芽がゴマナに似ています。
誤食すると激しい下痢を引き起こします。
ザゼンソウ
- 分布:北海道~九州
- 花期:3~5月
- 似ている山野草:ギボウシ類
- 誤食時の症状:喉の炎症、吐き気
ミズバショウと同じように湿地帯に生育します。
暗赤褐色の仏炎苞が不気味なザゼンソウ。
腐肉を思わせるような悪臭を放ちます。
全体にシュウ酸カルシウムを含み、汁液が皮膚に付着すると痒みや水膨れを起こします。
ザゼンソウの仲間に、小型のヒメザゼンソウがあります。
とある書籍でヒメザゼンソウを食料とする記述を見かけましたが、ザゼンソウと同じく毒がありますので食べるのは止めましょう。
スイセン
古い時代からの帰化植物で園芸種としても栽培されます。
葉や鱗茎に毒があり、加熱しても消えることはありません。
誤食すると直後に吐き気を催し全て戻してしまうため、重篤化に至らないことが多いようです。
ドクゼリ
ドクウツギ、トリカブトと並ぶ日本三大有毒植物のひとつ。
誤食すると死亡率が高く、有毒成分は皮膚からも浸透するため安易に触れないこと。
湿地を好み、セリと同じ場所に生えることがあるので、しっかり見分け方を知ることが大切。
トリカブト
アイヌ民族など狩猟民族が毒矢に用いることでも知られるトリカブト。
日本の植物の中では最も毒性が強く、日本三大有毒植物のひとつ。
トリカブト属は日本国内では30種ほど自生しています。
誤食すると20分以内に中毒症状が現れ、死に至ります。
トリカブトは薬用植物でもあり、塊根を生薬で「烏頭(うず)」「附子(ぶし)」と呼びます。
バイケイソウ・コバイケイソウ
全草が有毒で、加熱しても毒性は消えません。
誤食すると30分から1時間で症状が現れ、最悪死に至ります。
若芽の頃のギボウシ類などに似ているため、誤食事故の多い毒草です。
ハシリドコロ
早春の山地などで芽吹く柔らかそうな新芽がギボウシ類などと間違われます。
誤食すると走り回るほど苦しむことからこの名前がついています。
全草が有毒ですが、根は「ロート根」と呼ばれ医薬品に使われます。
ヒガンバナ
種子ができず鱗茎で繁殖する毒草。
昔の人はヒガンバナの毒性を利用してネズミやモグラなどの小害獣除けとして、田んぼのあぜ道や土手、お墓などに植えました。
ヒガンバナは特に鱗茎に強い毒を持ち、最悪の場合死に至ります。
しかしこの毒は水溶性で、鱗茎を入念に水にさらすことで飢饉の時の救荒作物として利用されました。
フクジュソウ
- 分布:北海道、本州、九州(本州中部以北がとくに多い)
- 花期:3~4月
- 似ている山野草:新芽をフキノトウ、生長した葉をニンジン
- 誤食時の症状:嘔吐、下痢、呼吸困難、心臓麻痺
山地や落葉樹林に自生し、雪解けとともに芽吹き黄色い花を咲かせるフクジュソウ。
春を告げる花として正月の鉢植えとして店頭に並ぶこともある縁起物。
しかし全草に劇薬と認められるほどの毒性があります。
花を見て区別しましょう。
ホウチャクソウ(キツネノチョウチン)
丘陵地から山地まで、湿気の多い場所に自生します。
毒性はそれほど強くありませんが、ちぎると悪臭があります。
そのため口にすると吐き気を催します。
ムラサキケマン
平地から低山のやや湿った林縁や道端などに自生します。
セリ科の植物に似ていますが、ちぎっても良い香りがなく独特の臭気があります。
全草に有毒成分プロトピンを含みます。
有毒植物まとめ
いかがでしたか?
今回紹介した有毒植物はほんの一部。
野草や山菜を調べるとともに似ている毒草もチェックしておきましょう。
判断に自信が無い場合は摘まない勇気をもつことも大事です。